するりするりと喉越しよく入ってくる軽快な文章で時間があっという間でした。
落語のような耳ざわりの良い語り口の作品です。あるものに関連したネタをいろいろと取り入れられたお話なのですが、「退屈しのぎ」の件の言葉が私は好きです。
軽快な口調で語りかけてくる女芸人センリが、一筋縄ではいかないお客様相手に一世一代の芸を見せつける痛快なエンタメ小説です。センリの一見お調子者に見えるけれど強かな性格や、猿の手という話タイトルの通り、願いを叶える代わりに、意図しないことも招くナニカの恐ろしくも魅力的な敵役、そして食えない手配師のサジ。長編のスピンオフとのことですが、こちらの作品だけでも十分に楽しめました。センリさん、すごくかっこよかったです。