【読む前に感じたこと】
一番気になるのは”制限時間内”とはどんな意味合いなのか? ということ。
吸血鬼としてのもう一つの顔があるということは、時折吸血鬼に変化し完全にそっち側になってしまう前に、血が必要なのだろうか?
わがものにするとはどういうことなのか?
この辺がとても気になるところである。
【物語は】
主人公の少女が嫌にリアルな夢を見て、起床時間が登校ぎりぎりになってしまうところから始まっていく。
その後登校途中で具合の悪うそうな同学校の生徒を助け、時間ぎりぎりとなり、教室では友人に揶揄われるなど踏んだり蹴ったり。
しかしそんな彼女の日常から、近頃話題になっているという”吸血鬼事件”の話題へと。果たしてそれは一体どんな事件なのだろうか?
【吸血鬼事件について】
この物語の中では、ある一つの不可解な事件が起きていた。
それは男女問わず、血を抜かれるという謎の事件。殺人事件と断定されていることから、何者かが行っていると考えられる。
首に二つの穴が痕跡として残されていることから、吸血鬼事件と呼ばれているようだ。果たしてこの事件の犯人は?
【登場人物について】
転校生がやってきてから主人公の日常が変わっていく。
登校途中で助けた男子生徒は、なんと主人公のクラスへの転校生だった。
彼は身体が弱いのか持病持ちなのか、体育に参加することはできない。それを不憫に思っていた主人公だったのだが。
どうやら彼はドジっ子というものらしく、そのハプニングに主人公が巻き込まれる確率が高いようで、それがだんだん日常と化していた。
主人公と特に仲の良い友人は、情報通。その理由は作中にて明かされている。
転校生のハプニングに巻き込まれ、お似合いなどと言われてしまう主人公ではあったが一学年上に想い人がいるようで、その経緯なども語られていく。
【物語について】
想い人である先輩とやっとまともに話すことが出来た日、二人は吸血鬼事件に巻き込まれてしまう。主人公は間一髪で”ルフス”と名乗る不思議な男子学生に助けられるのだ。
事件の恐怖、大切な人を失ってしまった喪失感から学校を休んでいた主人公。そんな彼女を心配しお見舞いに来てくれたのは、仲の良い友人と転校生であった。
想いを吐き出したのち、主人公とその友人は転校生から彼の身に起きていることを聞かされる。それはにわかには信じがたい内容ではあったが、彼に残された時間はわずか。二人は彼に協力を申し出るのであった。
【物語の見どころ】
主人公が吸血鬼事件に巻き込まれ、転校生のもう一つの人格に助けられるところがターニングポイントとなるのだと思う。
この後、二人は友人と同じ新聞部へと入部することになり、彼のへ協力者が増えていく。
この作品はライトノベルなので、彼が吸血鬼であることに関して”偏見”を持つような流れはない。真っすぐに解決へ向けて皆が一丸となって協力していくような物語である。
主人公の想い人については、たくさん出番があるわけではないもののキーパーソンとなっているように感じた。彼の存在があったからこそ、物語は動き出したと言っても過言ではない重要人物。
他に見どころの一つとして外せないのは、二つの人格を持つ転校生であろう。彼は人格によって性格が変わる。真逆に近いその立ち居振る舞いが読者を惹きつける要素の一つだと思われる。
だが、彼が救われるということは、その人格を一つ失うということでもある。
あなたもお手に取られてみませんか? この物語の結末をその目でぜひ確かめてみてくださいね。お奨めです。
*備考10章まで拝読(P10かな)
憧れの先輩に恋する普通の女子高校生『門宮茉莉』はある日、病弱な転校生『神宮寺静藍』と出会う。しかし怪事件をきっかけに、茉莉は静藍の中に眠る吸血鬼『ルフス』とも運命的な出逢いを果たしてしまい――茉莉自身や彼女の所属する部活メンバー達も、大いなる運命や戦いに巻き込まれていく……。
吸血鬼モノの作品は世に数多存在しますが、本作は『日光に弱い』だとか『ニンニクが苦手』といったベタな内容ではなく、魅力的かつオリジナリティ溢れる設定に満ちています。
設定だけでなく、茉莉の前に現れた物静かな美少年の静藍と交流し、かと思えば俺様系イケメンヴァンパイアのルフスも登場し、ボーイ・ミーツ・ガール……と言うより『ガール・ミーツ・ボーイ』モノになっている点も、個性が発揮されているなと感じました。
そして何よりも、過去編の完成度が非常に高いです。是非とも第三編までは読んで頂きたい。茉莉や静藍、そしてルフスを狙う、強力かつ冷酷な吸血鬼達が敵として襲いかかってきますが、彼らの過去や絆を知ってしまうと印象がガラリと変わり、敵勢力なのに応援したくなってしまうほどです。
『人間VS吸血鬼』という構図のまま、『主人公チームVS主人公チーム』の構成へと印象が移り変わっていくのは、お見事かつ素晴らしいと思いました。
ただ冒頭での茉莉の描写や口調が『ありがちなアニメキャラ』っぽかったり、クラスで挨拶する転校生と通学路で既に出会っていたり……という部分でベタすぎる感じがあり、テンプレな吸血鬼モノや学園ラブコメっぽいと初見では勘違いされてしまうかもしれません。
その可能性があるのは少し惜しいと思いますが、しかしこのレビューを読んだ方々には「そんなことはないぜ」と声を大にして伝えたいと思います。
情景描写やバトルシーン、主要キャラ達の揺れ動く心情なども巧みに表現されており、高い文章力も感じます。
続きやラストが非常に気になる良作でした。面白かったです!
こちらの物語は、主人公の茉莉(まつり)という女の子が通う高校に、物静かそうで軟弱そうな男の子の静藍(せいらん)が転校してくる話から次第にストーリーが廻っていきます。
しかしその男の子がなんと、敵と対峙する時に、全く正反対の人格を持つ吸血鬼……ルフスに変貌して戦うという……!!
そんな静藍くんが完全に『人間』の自分を取り戻すための戦いの物語です。
そのギャップがあり過ぎる両方の男子に、私の心はつかまれました。たまらんですよ、ほんとに。
ルフス、かっけええええ!!華奢、銀髪、赤眼、俺様、クール、イケメン、最高で最強吸血鬼がここにいます。
同じ身体なのに、正反対の静藍くんもそこにはいるわけです。これがキュンせずにいられますか。
そして主人公の茉莉ちゃんがまた元気いっぱいで頼もしく、苦境にもめげない、負けそうな相手でも体当たりしそうな勢いに、とても元気をもらってしまいます。
その彼女はどうやら不思議なめぐり合わせを持っており、その隠された謎にも迫る本作です。
まだ未完結の作品なので、全ての謎は明らかになっていませんが、先がとても待ち遠しいです。
ストーリー展開も早く、次々に色んなことが起こり、ハラハラドキドキの展開が続きます。
クールなイケメン俺様的吸血鬼、ルフスもまだ何か謎を隠しており、そのミステリアスなところも魅了される一つです。
正反対の物静かで軟弱体質な静藍くんも、彼なりにすごく頑張っていて、茉莉ちゃんのために自分の出来ることを精一杯やろうと健気に頑張ります。そこがたまらんのですよ……。
彼ら、彼女を取り巻く部活の仲間達もすごくいい子ばかりで、学園ドラマならではの、楽しい雰囲気も感じられる作品です。
敵との闘いはどうなるのか。
吸血鬼の種族の謎にも迫る、現代バトルファンタジー!
ラストへ向けて、一緒に楽しんでもらえたら私も嬉しいです!!