第3話

「子どもがいたら楽しいんだろうなあ。」と、思う。

しかし仮に、今の状態で彼女ができて結婚し、その結果、子が生まれたとしたら、子どもはおろか彼女までも幸せにすることはできない。

まして、高校時代から精神を患っている身で、そういったことを考えることは、相手にも失礼に当たるのではないかと、時々、考え込む。

もし、自分の子どもに「生まれたくなかった。」と、言われても、何も反論できないと思う。

親になる器ではない。

だから、彼女が欲しいと思っても積極的には動かない。

父母や先祖には申し訳がないでは済まないが、俺の家系はきっと、俺で途絶えるだろう。

先祖は悪くない。

子孫の俺が、だめにしてしまったんだ。

はっきり言って、俺の子ができたとて、将来的に子孫が苦しむ未来は見えども、子孫が幸せになる未来は見えない。

他人の子でもだ。

国のせいにしたい。

選挙に行かない人のせいにもしたい。


性欲だけなら風俗店に行けば良い。

相手はお金を対価に仕事でやってくれるし、こちらの欲も満たされる。

俺のは、子どもが欲しいのではなく、汚い話、きっと性欲なんだろう。


世の中のとんでもない男たちのせいで、どれ程の女性や(その結果生まれた)子どもが苦しむことになっているのか?

それを考えると胸が痛むこと限りない。

虐待が増えたのは、己のことだけを考える、子に無関心な親が増えたせいだと考えているし、子どもは"自らの性欲"により、結果的に"できてしまった"存在だと無意識に思っているから、そんなぞんざいな扱いができるのかもしれないとも思う。


いずれにせよ、目先のことだけを考えて自らの欲望に忠実な者が増えた社会に未来はない。


そんな社会に絶望したので、逆に、俺も己に忠実に生きることにした。

『卓球三昧、着物三昧、お昼寝天国』

そして、美味しいものを食べて温泉に浸かってゆっくりする。


自分の欲望のせいで子どもが苦しむ未来よりも、こちらの方がどれ程建設的だろうか。


世の中、いくら下の階級にいい人ばかりいても、上の階級の奴等が悪人ばかりなら、そいつらに都合のいい、だめな社会になってしまうものだ。

「そうなってほしくはない。」と望みつつも、知らぬ間に彼らの片棒を担いでいる人も多い今の日本が、それを体現している。


そんな社会に呆れたし、一人で騒いだところで、気狂い扱いされるだけだ(実際、精神を病んだ)


己の欲望に忠実に、そして、慎重に……。

能天気をモットーに生きる今の状態が、今は一番幸せだ……。


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せせらぎ大學(旧 中洲ノ粤犬) @tasogarefeeling

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