第6話

 その後は他愛ない話をして、通話を終了した。

 平岡は、胸筋の内が今までにないほど高鳴るのを感じ、立ち上がってワイドスクワットを開始する。

 贈り物を喜んでもらえた!

 約束を取りつけた!

 相変わらず可愛い!

 ところで、あの子には彼氏がいるのだろうか。

 胸筋の内が燻り始める。

 でも! 俺にも勝算はある!

 ショッピングモールで購入したエプロンを着用してみた。幼なじみの女の子に贈ったものと同じ、カフェエプロン。小柄な彼女にきっと似合う。平岡の体には、ぴったりフィットする。

 お揃いのカフェエプロンでキッチンに立つ自分達を想像し、しかし、燻る気持ちも掻き消すことができず、ワイドスクワットを続行した。

 胸筋の内が燻る夏は、まだまだ続く。



 【「夏が燻る」完】

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夏が燻る 紺藤 香純 @21109123

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