“生”にしがみついた者のみが得られる責務と後悔が美しい作品

全話を通して描かれた、生還した少女達の負う苦悩や後悔、重圧。
それらに対してどう向き合うか、答えを知らないなりにもがいて蜘蛛の糸を掴もうとするようなヨウコは我々読者それぞれの“監視対象”である。
ブスジマがヨウコ投げかけた言葉は彼女を導く教師、あるいは親のような温もりを持ったナイフである。

無傷でいられなかったはずの少女達に寄り添う側へと回ったヨウコは、これからも傷を刻むことだろう。
かつてブスジマがしてくれたように、答えを問う優しいナイフで。
その傷を通じていつかヨウコ自身も答えを得ることを切に願う。