概要
「抜けば、俺かお前、どちらかが死ぬ。それだけのことだ」
互いに一度命を捨てて、どちらが拾うかを決する。
決闘とは、詰まるところそういうものだ。
敗者はただ喪い、勝者もまた何かを得るわけでもなく、それでも彼らは得物を執る。
拾った命でしか、その重さが量れない。
拾った命でしか、生きているという証を立てられない。
そういう男達が、かつていた。
これは、そんな愚かしい男達が、朝風に揺れる薄の原で繰り広げた一幕である。
決闘とは、詰まるところそういうものだ。
敗者はただ喪い、勝者もまた何かを得るわけでもなく、それでも彼らは得物を執る。
拾った命でしか、その重さが量れない。
拾った命でしか、生きているという証を立てられない。
そういう男達が、かつていた。
これは、そんな愚かしい男達が、朝風に揺れる薄の原で繰り広げた一幕である。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!あるいは黒澤作品のような情景を想起させる骨太な一作
徹底した俯瞰的な視点で綴られる情景は両者どちらの心情に寄ることは無く、
その場を吹き抜ける風の一部であるかのように話は淡々と進んでいく。
思い起こされる景色は広い画角による広大な薄の原、そしてこれでもかと寄った登場人物たちの瞳。
ソリッドな文体は一切の隙を見せないからこそ、我々読者一人一人の中に自分たちが思い描く往年の名作映画の場面のような臨場感を与えてくれる。
余計な台詞を廃し瞳で語らせるセルジオ・レオーネのように、あるいはその動きにこそ冴えありとアクションに彩りをつける黒澤明のように。
力強さに満ちた内容は、読めば心地の良い侘びしさと無常を与えてくれること間違いなしである。