夏が燻る
卯月
ぼくの夏休み
お父さんもお母さんも仕事が忙しくて、どこにも行けない夏休み。あー、つまんない。このまま、特に何もなく、夏が終わっちゃうのかな。
ぼくは、夜中に家を抜け出して、近所の砂浜でゴロンと寝転んだ。
夜空いっぱいの星。眺めていると、ときどき、スーッと光の線が流れていく。そういや、ナントカ流星群なんだっけ? よくわかんないけど。
次に星が流れたとき、お願いしてみた。
「何か、ビックリするようなことが起きますように!」
次の瞬間、ドカン! と大きな音がして、舞い上がった砂がドサドサッ! とぼくの上に降ってきた。
跳ね起きて、頭や顔にかかった砂を払ってからキョロキョロする。すぐ近くの砂浜に、ぼくの身長くらいの丸い物が突っ込んでいた。空気が焦げたみたいな匂いが、そこら中に漂っている。
目をパチクリさせながら見つめていると、継ぎ目のない金属ボールみたいなソレに突然穴が開いて、出てきたタコっぽい奴が、テレパシーで話しかけてきた。
『あの……宇宙人です』
いやそんなこと言われても。
『君にわかるように、君の頭の中で勝手に変換されているだけだから! お願い、信じて!』
その夏、ぼくは、〝ファーストコンタクトした小学生〟として有名人になった。
夏が燻る 卯月 @auduki
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