第19話 ゲート開く
突然、飛び出した守護天使を見ておどろくカイオ王子とイザベル。
(レオ、私のことを二人に説明して。私は今は二人と念話できないから。DKXの事は言わなくていいから、守護天使としての私のことを!)
「わかった。実はね、この光はオレの守護天使なんだよ」
「しゅ、守護天使?!」
「それどこで見つけたの? さっきの武器庫?」
当然、驚く二人。
それもそうだろう。守護天使なんてラノベの世界でしかでてこないだろうからな。
(それにしても、イザベルのこのリアクションは何だ? 守護天使をアクセサリーかペットとでも思っているんだろうか?)
「どこで見つけたかって、当然武器庫ではないし、デパートとか店とかで買ったんでもないよ!」
「でぱーとって何? 外国の地名?」イザベルがわからずに聞く。
「しま(った)... いや、そうじゃない。ことの始まりは…」
レオは二人に語りはじめた。
うっかり言ってしまった“デパート”のことはスルーして、シーノは神様から(ということにしといて)つかわされた守護天使であり、レオとカイオが『謎の穴』を発見した日の夜、寝ているときに神が夢の中に現れ
「えーっ神様って本当にいたんだな!」
あまり信仰心はないのか、神が守護天使をつかわせたと聞いて驚きつつも何度もうなずいているカイオ。
「当たり前じゃない。神様はいつも私たちを見守ってくださっているのよ!? でも、なんで神様はシーノちゃん、つまり守護天使をレオにつけたのよ?」
イザベルはさすが年長だけあってか、鋭い質問をする。もともとイザベルは賢いのだが。
「…」
どう答えたらいいかわからず、沈黙するレオ。
(それは“自分に果たさなければいけない大事な役割があるから”と答えて)
間髪をいれずシーノからフォローが入る。
「それは、オレが神に代わって果たさなければならない『大きな役割』があるからだ」
「『大きな役割』ってなんだ?」
(世界を救うという役割)
「世界を救うという役割…って、えっ、そんなことまで言っていいのかよ?」
シーノが言う言葉をオウムのように言っていたレオだったが、守護天使のぶっちゃけすぎる言葉を口に出してしまったあとで自分でも驚く。
「世界を救う~???」
「世界は滅ぶの~?」
当然のようにカイオとイザベルが驚く。
(“今は詳しく言えないけど、じきに分かる。とにかく自分を信じてくれ”というのよ)
「 今は詳しく言えないけど、じきに分かる。とにかくオレを信じてくれ!」
額になぜか汗をかきながら答える。
「そうか。まあ、この聖堂といい、神聖アールヴ文字といい、この祭壇の魔法陣といい、その光り輝く守護天使といい、奇妙で不思議なことばかりだからな。それも『謎の穴』発見以来だから、今はレオを信じた方がよさそうだな。」
「まあ、それは私も同感だけど、レオ自身もあまり詳しくないようね。そのシーノちゃんにフォローしてもらっているんでしょう?」イザベルがするどく見破る。
「そ、そうなんだけど。でも、今言ったように、あとでもっとよく分かると思う。」
「ま、レオとは長いつきあいだし、信じるほかないよね?」
「そう言ってもらえると助かる」
急場をしのぎホッとするレオだった。
「で、忘れてもらちゃあ困るんだけど、どうして今まで私たちに見えてなかったシーノちゃんが急に見えるようになったのよ?」
「そうだ、その点だ!」
イザベルに言われて、“世界を救う”などという話に少々動転して肝心のことを忘れていたカイオも言う。
「シーノ、説明してやれよ。オレもわけがわからないんだから…」弱音を吐くレオ。
(それはね、いくら呪文を唱えても、肝心な魔力がないからゲートは開かないということ教えてあげるためよ)
シーノの説明をカイオとイザベルに伝えると
「ええええーっ!魔力でゲートを開くゥ?!」
シーノの説明を伝えて自分自身、のけぞって驚くレオ。
「“魔力でゲートを開く”って何?」
「“魔力があったら魔法陣は作動するのか?」
また、即座に質問攻めにあう羽目になった。
(だから、今から私が魔力を使ってイザベルの唱える呪文でゲートが開くようにしてあげるのよ!)
「だから、その魔力をシーノが出すか込めるかしたら魔法陣は作動してゲートは開くと言っているんだよ」
「あー、だからシーノちゃんは出てきたわけね。それにしてもシーノちゃんってスゴイね、魔力を持っているなんて!」
(まーね… こんなことはたやすいことよ)
守護天使は鼻を高くして言う。
「まーぁ、そんなに難しいことではないってシーノは言っているよ」
レオが伝えると、イザベルは目を輝かせて飛び回っている守護天使を見ていた。
「じゃあ、シーノちゃんの助けを借りて再度トライしてみようぜ。イザベル、頼むよ。レオも準備して!」
「オーケーよ。今、呪文を唱え始めるわ。シーノちゃん、お願いね」
(わかったわ)
「おう!オレの方はいつでもオーケーだ!」
カイオの指示に呼応する二人。
イザベルが呪文を唱え始めたのと同時に、魔法陣の斜め上に停止したシーノが放つの光の輪がみるみるうちに大きくなり、レオ、カイオ王子、イザベルの3人を包んだ。
金色の光の輪はさらに大きくなり、魔法陣までその範囲に入ってしまった。
「ジ…ジジジ…ジジジジ…」
聖堂内の空気が震えるような音がする。
その時、魔法陣の描かれた壁の下方にあった平たい黒い石- 横4メートルほど、縦2メートル半ほどの一面に白く魔法陣が描かれてある石- が “ブンっ" とうなったかと思うと、まるで巨大なスクリーンに投影しているように、景色が現れた。
(なに、これ? まるで200インチ型テレビのディスプレイみたいだけど?)
さすがにレオが前世で生きていたころ住んでいた家にはそんな大きいテレビを置く場所はなくて、せいぜい40インチテレビしかなかったが、大スクリーンテレビを思わず思い出したレオだった。
そこに見える景色は、暗い空、下へ降りる石段、そして両脇に並ぶ支柱だった。
「さあ、行くのよ、“勇者たち”!」
シーノの声に励まされて(もちろん、シーノの念話をレオがカイオとイザベルに伝えたのだが)、投影されている景色のある世界- たぶん異世界か、ほかの場所だろう- に向かって恐る恐る踏み出した3人だった。
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続きは『小説家...』で『DK世界に行ったら100倍がんばる!』のタイトルで連載されています。
異世界行ったら100倍がんばる! @Photon-X
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