第59話 おまけの話・そうだ、交代制にしよう!

「ねぇ、なんでレオンが牢屋に入ってるの?」


 モニターを見てたら、ミカエルに聞かれた。


「オレも知りたい。何でだ?」


「ルシフェルがわからないのに、ボクがわかる訳ないじゃん」


「まぁ、それもそうだな」


 いつものことだが、レオンは面白い事をやって楽しませてくれる。何故だか知らんが、他国に行って牢屋に入れられてしまった。


「うわっ! ノエルめちゃくちゃ機嫌悪っ!」


 ミカエルも自分でモニターを出して、ノエルの様子を観ている。ちょくちょく、こうやって近くに寝っ転がって、それぞれモニターでレオンたちを観ていた。


「ノエルが本領発揮してて楽しいなぁ。あんだけ腹黒なのに、レオンとアリシアには振り回されるって……ウケんだけど!」


「多分、レオンが最強なんだと思うぞ。いろんな意味で」


「あー、間違いないね。でもそんな振り回されるノエルも、我が子のように愛おしいよ」


 ミカエルが珍しく、微笑みながらまともな事を言っている。普段はこんな事いわないのに、よほどノエルが気に入っているようだ。


「そうだな、ふたりとも幸せになって欲しいな……」




     ***




 ついに、ついに、ベリアルと結婚か……あの薄ら汚いガキだったレオンが……!


 モニターには、レオンとベリアルの結婚式が映っている。悪魔族の魔力で、花びらが舞って幻想的な結婚式だった。アイツらもたまにはいい仕事をするな。

 大天使の俺が思うんだから、その場にいる者たちは感動ものだろう。

 ああ、実際に泣いてる奴が、何人もいるな。


 グレシルもアスモデウスもベルゼブブも泣いてるのか……でも、アイツらの凄いところは、それでも契約解除しないところだな。レオン様が幸せならそれでいいって、断ってたもんな。なんていうか、健気だな。


 それにしてもレオンの奴、獣人族の他にも、魚人族の国でも投獄され、エルフ族の王にも捕まってたな。

 しまいには黒龍っていう、竜王の刀を盗んだって因縁つけられて、竜人族に投獄され……まぁ、よく無実の罪で投獄されてたよ。

 ベリアルにプリズンマスターと呼ばれた時には、腹抱えて笑ったな。


 でもいつも最後にはいろんな人を助けて、結局どの国の王も同盟に加入することになったんだ。



 なかなかプロポーズできなかったのに、ようやく最愛の女と結婚できたのか……あ、ちょっとモニターぼやけて見ずらいな。

 とにかく、幸せになるがいい。大天使の祝福をこっそり送っといてやる。


 ……あの三人の悪魔族たちにも送っといてやる。今日だけ特別だ。




     ***




「結局いろんな国をまとめちゃったね……」


「そうだな」


 今日もいつものように、ミカエルと寝っ転がって、モニターを眺めていた。


 この世界の国々が、ルージュ・デザライトとヴェルメリオではじめた同盟に参加していた。竜人族が加入した後は、他の国々からも申請されている。


 細かいいざこざは無くならないが、国同士の大きな衝突はなさそうだ。

 悪魔族の契約がうまく効力を発揮している。


「これは、オレたちも変わらないと、出番がなくなるかもしれないな」


 実際に、ヴェルメリオでは泉で天使に祈りを捧げる者がめっきり減ってしまった。戦う必要がないのなら、我らの力など不要なのだ。



「じゃぁさ、担当制やめない?」



 ミカエルが画期的な提案をする。

 ひとりが加護を与えて、専属でずっと見守ると他の者にチャンスがなくなる。絶対数が減っているなら、複数人でひとりを見守るしかない。


「そうだな……交代制にするか?」


「それなら何人かでひとりをフォローできるね。そんなに頭数いなくても、なんとかなるかも!」


「ふむ、では次に祈りを捧げたものから、そのようにしよう」


 なかなかいいアイディアだと思う。これは天使たち全員に、知らせなければ。反対意見が出ても、オレが抑えてやる……クククッ。


「じゃ、これからは名前を呼ばれたら行くで」


「呼ばれなかったら、早い者勝ちだな」


 バチバチとミカエルと視線がぶつかる。今度からは、毎回、先を競い合うのだ。いい暇つぶしになる。


「絶対ルシフェルには負けないからな!」

           

「ふん、オレも負けるつもりはない」



 すぐに天使たちに話を通して、全員に理解をしてもらった。割とスムーズだった。

 逆に人族たちが混乱していたな。まぁ、しばらくすれば、慣れるだろう。

 最初に呼ばれた天使が、ちゃんと説明すれば問題ない。


 オレたちも少しずつ変わってきている。

 最初はただ面白いヤツだと思ったのに、こんなに振り回されるとは思いもしなかった。


 気づけばいつもモニターで観ていて、あまりフォローも必要なかったけど、これからは祝福を送って行こうかと思う。

 これでも大天使だからな。それくらいは朝飯前だ。

 ノエルについては、ミカエルが責任持って祝福を送るだろう。



 どうか、レオンが幸せだと思う毎日が過ごせますように。




 オレは、いつもお前を見守っているよ————






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これにて完結となります。

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他にも作品を投稿してますので、よかったら読んでみてください。


明日からは↓の連載を始めます。


『追放された最弱ハンター、最強を目指して本気出す〜実は【伝説の魔獣王】と魔法で【融合】してるので、余裕で無双できました。だからお前らが落ちぶれようが、どうでもいいわ〜』


ファンタジーで追放ざまあものです。

こちらも読んでいただけると嬉しいです。


これからも執筆を続けますので、何卒応援のほどよろしくお願いします<(_"_)>ペコッ

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追放された殲滅の祓魔師〜悪魔達が下僕になるというので契約しまくったら、うっかり大魔王に転職する事になったけど、超高待遇なのでもう戻れません〜 里海慧 @SatomiAkira38

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