「弦音、空に響け」
北原小五
約束
「弦音、空に響け」
夏の終わりの弓道場は、とにかく蒸し暑い。涼しいのは扇風機の周りだけだが、それも的中の記録をとるための机の前にしかない。
三嶋高校弓道部は三年生の送別会を行っていた。今日ばかりは静寂な弓道場も和気あいあいとした雰囲気に包まれ、的中ごとにカップラーメンなどのちょっとした景品が出たり、二年生が考えた催し物を開催していた。
みごと四射皆中(四本の矢を全てあてること)を成し遂げ、カップヌードル五つを獲得した男子がスマートフォンのカメラに向かって、おどけた顔を見せる。それを同級生たちがくすくす笑いながら撮影していた。
「引退か~」
道場の奥で正座しながら、しみじみと三年生の先輩が呟いた。
「信じられないね」
「まあ、いいじゃん。うちらなかなか成績よかったし」
その言葉に、心の中で西野美菜は頷く。西野は二年生だが、先輩たちの活躍は記憶に新しい。元来、三嶋高校弓道部は全国大会の常連校で、五年前には優勝もしている強豪校だ。先輩たちは優勝こそ逃したが、三位になり表彰台に上った。
「ねえ、次の部長って西野さん?」
隣でじっと黙っていた西野に、不意に女子の先輩が声をかける。西野は曖昧に笑った。
「いえ、彩花だと思います」
「川瀬さんなの? 喜田先生がそう言ってたの?」
喜田先生は五十歳ほどの弓道部の男性顧問である。
「違います。でもたぶんそうです」
西野は会話を打ち切るように立ち上がり、弓が置かれている方に向かう。自分の順番が回ってきていた。
西野の成績は十二射八中と、お遊びの試合とはいえ悪くはなかった。皆が打ち終わり、片付けをする。それから道場で全員正座をして顧問の話を聞く。白いジャージを着た喜田先生が話し始めた。
「えー、今日で三年生が道場に来るのも最後になりました。代表で両部長から挨拶をもらいます」
男子部長と女子部長が前に出て、この二年半を振り返る。先輩に懐いていた後輩はときおり涙ぐんでいたが、西野は真っすぐに背筋を伸ばし彼らの話を聞いていた。
「えー、立派な挨拶をありがとう。ではこれでお開きとしたいのですが、今日はもう一つ、大事な話があります。二年生の西野が退部します」
***
ずきんずきんという痛みは、もう随分と前からあった。それでも西野は無理を通して弓道を続けていた。けれどそれももう限界を迎えていた。
「肩が痛むのはいつ頃からですか?」
母と一緒に行った病院で、医師にそう訊ねられた。
「半年くらい前からです」
「かなり無理をしてきたみたいですね。なにかスポーツをやっているんですか?」
「弓道を」
医師はこちらを憐れむような瞳をした。
「残念ですが、もう弓道は続けられないと思ってください。これ以上は医師として勧められません」
目の前が真っ暗になった、という表現がよく出てくるけれど、そんなことはなかった。西野の視界にはおろおろとする母と、診察室が映っていたし、膝の上で握りしめた拳もちゃんと見えていた。何もかもが終わりだと思っても世界は続いていくのだと西野は思った。
「そうか。それは……悔しいな」
翌日、西野は職員室にいる喜田先生に診断結果を報告した。どうして肩のことを黙っていたんだと叱られたけれど、もう弓道は続けられないというと、先生は語気を弱め、こちらを慰めてくれた。
「はい……」
散々、泣いた後だったので、西野はもう涙を見せなかった。それでも、やはり未練は残る。
「よかったらマネージャーをやらないか?」
「マネですか?」
弓道は基本的に道具の手入れは自分でするのだが、部活という形式上、一応マネージャーはいる。各学年一人ずついて、的中の記録管理や練習試合のスケジュールを組んでくれるのだ。
「西野はこの部活を支えてくれる屋台骨だからな。どうだ?」
喜田先生はにかりと歯を見せて笑ったが、西野は首を横に振った。
「やりません。肩を使わない別の部に入るつもりです」
提案を却下され、喜田先生は少し寂しそうにした。
「そうか。でも西野が決めたことなら、先生は応援するからな。何かあったらまたいつでも相談しなさい」
「はい。ありがとうございます」
そうして西野は弓道部を退部することとなった。
退部の発表があり、道場の中はざわついた。西野は前に出て、怪我を負ってもう弓が引けないことを説明し、残りの部員を激励した。同級生たちにも部を辞めることは話していなかったので、彼らはとても驚いていた。
挨拶が終わると、仲良くしていた女子たちが西野を囲んだ。
「美菜、本当に辞めちゃうの? マネージャーになったら?」
「ううん。料理部とか入るつもりだから」
「そっか。でも、これからも友達だからね」
「西野先輩、これ三年生の先輩たちへのプレゼントなんですけど。あまりがあって、それでもよければ貰ってくれませんか?」
後輩が差し出したのは、レンジでできるキーホルダーだった。正射必中(正しい形で打てば、矢は必ず的に当たる)と書かれている。
「ありがとう。貰うね」
そのときふと、川瀬彩花が道場から出ていこうとするのが見えた。川瀬は西野と同じ二年生で、大会の個人戦でも幾度も優秀な成績を収めている。簡単に言えば、ライバルのような存在だった。特別に仲が良いわけではないし、川瀬は無口で引っ込み思案な性格なので、西野に何も言わないのは不自然なことでもなかったのだが、一言くらいあってもいいのにと思った。
部員から労われ、西野は家に帰った。西野の父は地元の政治家で、母は大学で薬学部の准教授をしている。簡単に言えばインテリ家系の金持ちだ。西野自身も進学校の三嶋高校で試験の結果は常に上位、難関大の合格を教師や両親から期待されている。幼い頃から、西野は周囲の期待に応えてきたし、それを苦しいとも思わなかった。むしろ、もっともっと賢く、何らかの目標を達成するためにはいつもゆるぎなく強くなりたいと思った。そういう意味では西野は強者であり、中学生から続けていた弓道を辞めることは生まれて初めてのつまずきだった。
「本当に残念だったな」
リビングに飾られたトロフィーを見ながら、父がそう言ってくれた。
「いいの。受験もあるし、ゆるい文化部にでも入る」
「父さんはマネージャーも悪くはないと思うぞ」
「いや」
「どうして? 友達だっているんだろ?」
──お父さんはわかっていない。
西野はそう歯噛みしたくなるのを何とか抑えた。
自室に戻り、鞄の中からスマートフォンとキーホルダーを取り出した。SNSを見れば、今日の部活での写真が載っている。キーホルダーを持った先輩たちが画面の中で笑っていた。
正射必中。
それはきっと正しい。教本通りに事を進めれば、矢は必ず的に当たる。西野はそれが好きだ。手本があるというのは、正解があるということだから。けれど、今はわからない。
適当な文化部に入って、残りの高校生活は受験勉強のために費やされる。他の皆は残り一年の部活動で思いっきり全力を出せるのに。
悔しい。悔しい……。
肩に触れて、西野は声を押し殺して泣いた。
***
夏休み明けに学校へ行くと、驚くべきことが耳に入ってきた。
「川瀬さんが部活を辞めようとしてるの!」
「はい?」
廊下の隅に同学年の弓道部女子が集まり、西野を呼び出した。女子部員は困ったような顔をする。
「川瀬さん、新部長になるのも断ったみたいだし、何があったんだろうって。美菜、うちの部活で一番、川瀬さんとよく喋ってたじゃん。何か知らないの?」
たしかに、部内で唯一の二段保持者であった西野と川瀬は、練習でもよく一緒のグループになり弓を引いた。その中で多少とも会話をすることはあり、人見知りの川瀬も西野には心を開いているようだった。そうとはいえ、廊下ですれ違っても二人は話しどころか挨拶もしない。
「知らない……」
西野の中にむくむくと湧いてくるのは怒りだった。部活の未来を託されたも同然だった川瀬が、なぜ突然、退部を考えたのか。
「けど、本人に聞いてみる」
授業の後、西野はSNSで川瀬を図書室前の廊下に呼び出した。窓から夕日を眺めながら、彼女が来るのを待っていると、階段の方から川瀬が現れた。西野がきっと睨みつけると、川瀬はおろおろと自分のつま先を見た。
「話があるって、ど、どうしたの、西野さん……?」
「言わなきゃわからないわけ?」
気の強い西野と、気の弱い川瀬。正反対の二人の間に、窓からぴゅうと風が吹いた。
「どうして部活を辞めようとしてるの?」
川瀬は相変わらずうつむいたまま答えた。
「わ、私、西野さんがいないと部活にもう友達がいないし……。いや、友達なんて言うのもおこがましいのかもしれないけど……」
「そんなの理由になるわけないでしょ。あなたは部長になるんだから」
「西野さんがなるはずだった部長だよ」
「私はもう退部したの。だから部長にもならない」
きっぱりと西野がそういうと、なぜか川瀬が傷ついたような顔をする。
「……マネージャーにもなる気はないの?」
その質問はもう何度目だろうか。西野は今度ばかりは歯ぎしりを抑えられなかった。
──どいつも、こいつも。
「マネージャーになった私が……、私がどんな気持ちになるか想像したことある?」
西野から発せられる雰囲気が怒りに変わっていく。
「校舎を通り過ぎるとき、弦音を聴くだけでも悔しくなるのに。弓を引けないのに、近くでそれを見てろっていうわけ? 私がとるはずだったレギュラーに選ばれて喜んでいる人に『おめでとう』って言えって?」
耐えられない。
西野はそう思って、マネージャーを断ったのだ。未練もあるし、後悔もある。だからマネージャーにはなりたくなかった。
「それでも──」
川瀬は何事かを言いかけたが、口をつぐんだ。
「言いなさいよ」
高圧的な視線を西野が向ける。川瀬は彼女にしてはめずらしく、人の目を真っ直ぐに見た。
「約束したじゃない!」
それだけ言うのによほどの勇気が必要だったのか、川瀬は廊下を走って逃げていった。
……約束。
西野は川瀬を追いかけなかった。
***
自分の中に芯がある人間が好きだ。言いたいことがはっきりしている人も、野心的な人も好きだ。努力する人が好きだ。頑張ることは美しいことだ。
中学で三年間、弓道を続けていた西野は高校でも弓道部に入った。同学年の中で弓道経験者は西野だけだったが、同級生も冬ごろには先輩たちと遜色なく弓を引けるようになっていた。
冬になると区内で新人戦が行われた。西野と川瀬は同じチームで、優勝を期待されていた。期待されることに西野は慣れているし、誇らしく思える。ただ、心配なのは川瀬という同級生の存在だった。
川瀬は無口でほとんど自分のことを話さない。話しかけられても、上手く会話を続けられないタイプのようだ。たまに移動教室で見かけても彼女は本ばかり読んでいるので、友達もいないらしい。別に、それはどうでもいい。自分には関係のないことだと、西野は思う。問題は川瀬の弓道の腕前だ。
川瀬は弓道を始めてまだ一年未満にも関わらず、とても筋が良かった。所作も美しく、西野を除く一年生の中で一番早く初段を取得した。間違いなく、個人戦で優勝争いをすることになるだろうと、西野は思っていた。もしも負けたらと考えると、かなり悔しい。なんといってもこちらは中学から弓を引いているのだ。絶対に負けたくない。
ただでさえ負けず嫌いの西野は必要以上に自分の後ろに立つ川瀬を意識していた。試合当日もそれは続き、心が乱れた。チームの中で一番初めに矢を放つ西野が外すとチームの中でせめて自分はあてなければ、という気持ちが働く。それがまたよくない結果を生み、新人戦は四位で終わってしまった。十五校中四位なので、さほど悪くはない数字だが、優勝を期待されていたチームでこの成績は、はっきりいって失望ものだ。
初めての試合だったし、次は頑張ろう。更衣室でそんなことを同級生たちが話していた。西野は個人戦でぎりぎり表彰圏外の順位で、とにかく自分が情けなかった。
ふがいない。弓を引きながら他所事を考えるなんて。あれだけ無心で打てって教わったのに……。
不思議なことに、あてようとすれば外れてしまうのが弓道の難しいところだ。心を鎮め、所作を完ぺきに、無心で打てば、矢はおのずと的にあたる。すなわち正射必中である。
ため息を一つつき、弓矢を返しに高校へと電車で戻る。すっかり日が暮れて夜になっていた。ばらばらで夜道を歩くのは危ないので、男子が先頭に女子が後方をぞろぞろと歩いていった。
集団が高校前の大きな橋に差し掛かる。夜の川面に街灯のオレンジ色の光がきらきらと光っている。いつもなら綺麗に思う景色も今夜ばかりはそのきらめきが恨めしく思えた。
ふと横を見ると、少し離れて川瀬が歩いていた。いつもポーカーフェイスの彼女が、めずらしく唇を噛んでいた。
「唇、切っちゃうよ」
気づいたらそんな言葉が口から出ていた。川瀬はハッとしたように現実に引き戻され、唇を噛むのをやめた。
「あ、ありがとう」
意外だった。
いつも調子が良くても、何でもないって顔をしているのに、悔しがったりするんだな。
「川瀬さんは、なんで弓道部に入ったの?」
なんとなく前から聞きたかったことを訊ねた。
「本で読んで。かっこいいなって思っただけだよ」
「そう。まあ、私も似たようなもの」
「そっか」
会話が続かず、沈黙が流れる。別に西野はそれが嫌だとは思わなかったが、川瀬は必死に言葉を探しているようだった。
「く、悔しいね」
「……そうね」
「わ、私、実は今日、西野さんのことばっかり気にしちゃって……」
「え?」
うつむいたまま、早口で川瀬は続ける。
「負けたくないって思っちゃって、つい気が急いてこんな風に……。情けないね。無心にならなきゃいけないのに」
「川瀬さんもそうだったの?」
西野は少しだけ困ったように笑った。川瀬はきょとんとした瞳をしている。
「『も』っていうと、もしかして西野さんもなの?」
「あなたに負けたくなくて自分を見失ってた。私も情けない」
そのとき西野はたしかに川瀬にシンパシーを覚えた。正反対に思えた性格も、一つ負けず嫌いという共通点があったのだ。
仕方がないと、同級生は言った。次は頑張ろうと、同級生は言った。
けれど、そうじゃない。仕方がないなんて割り切れないし、新人戦は一度きりだ。そう思っていたのは西野だけではなかった。
「私達の代で、全国優勝しよう」
だしぬけに西野が言った。
「うん」
突然発せられた言葉にも関わらず、川瀬は驚かなかった。まるでそう切り出されるのがわかっていたかのようだった。否、彼女ははじめからそのつもりだったのだろう。
「約束だね」
川瀬が言った。
「ええ。約束よ」
***
料理部での活動は思ったよりも楽しかった。気の置けない友人と調理台を囲みブラウニーやパウンドケーキを作って遊ぶのは、西野にとって新鮮な体験だった。部活からの帰り際、偶然、廊下で喜田先生と会った。
「お、西野。料理部に入ったんだって?」
「はい」
「そうか、そうか。マネージャーをやってほしいなんて言って、悪かったな。お前も色々、辛かったのに」
喜田先生は決して気遣いが上手い先生ではなかったけれど、西野の気持ちをこうして考えてくれていたらしい。西野は微笑んだ。
「気になさらないでください。私、料理部、楽しいんです」
「そうか。ならいいんだ」
「それより、彩花が部を辞めようとしてるって聞きました。どうなんですか?」
喜田先生は残念そうな顔をする。
「ああ。もう退部したよ。なんで辞めるんだって聞いても、『事情があって』の一点張りでな。家庭に問題があるわけじゃなさそうだし……」
「……私のせいなんです」
「西野の? どうして?」
西野は川瀬がよくやるように顔を俯かせ、唇を噛んだ。
「約束したんです。一緒に全国優勝しようって。でもその約束は、もう……」
「そうか。そうだったのか」
「彩花ともう一度、ちゃんと話します」
西野は礼をして、喜田先生と別れた。
翌朝、西野は朝練の時間に学校を訪れていた。調理室の冷蔵庫に卵をおいて、それから図書室で勉強をするつもりだった。外廊下を歩いていると、ふと弓道部の部員が視界に入った。あちらは西野には気がつかず、大きな声で話している。
「本当に川瀬先輩が辞めたのって、西野先輩のせいなのかな?」
「だってあの二人、すごい強かったじゃん。川瀬先輩、きっと西野先輩に悪いと思って辞めたんだよ」
西野は持っていた卵を落として割りそうだった。そんなわけがないと思ったが、川瀬とかわした約束が西野の心に染みついている。
やっぱり彩花としっかり話さなきゃ……。
あのとき逃げたのは、川瀬だった。けれど、本当は、逃げたかったのは、西野の方だった。もう果たせない約束を背負っているのは西野の方だったのだ。
***
西野は川瀬をあの約束をした橋に呼び出した。
夜の川に二人はいた。高校生がいない時間帯が良かったので、無理を言って夜にしてもらったのだ。橋の中心で西野は川瀬と向き合っていた。
「こ、この間は、その……」
声を落とす川瀬に対して、西野は首を横に振った。
「別にいいよ。もう気にしてない。でも確かめたいことがあるの。彩花が部を辞めたのは、私に申し訳なく思ってるから?」
ストレートな物言いに川瀬は肩をびくんと震わせる。
「…………うん」
西野は怒らなかった。ただ静かに、手すりに指先をあてた。少し冷たくて、鉄の匂いがした。
「悪く思う必要なんてない。誰が悪いわけでもないんだもの。だから私の分まで頑張れなんて言わない。彩花は彩花で、私は私で頑張ればいい」
「けど──」
うつむいた川瀬は悔しそうに顔を歪めて泣いていた。どうして彼女が泣くんだろう。理由はわかっている。彼女が真面目ですごく優しいからだ。
「仲直りしましょう。まあ、もともとそんなに仲良しでもなかったけど」
「そんな言い方ないよう」
川瀬があんまりにも情けない声で言うので、西野は声を上げて笑った。
川面に長い影が二つ、ゆらゆらと動いていた。そのとき西野は夜空に弦音が響いた気がした。いい音だと思った。
***
早朝に西野はまた料理部で使う材料を冷蔵庫に入れるため、三階の廊下を歩いていた。そこの窓からは弓道部の様子がよく見えた。
西野は不思議と彼らの姿を見ても、もう悲しくなったり、悔しくなったりはしなくなっていた。
ふと川瀬が弓を引いているのが目に入る。弓を引き絞り、放たれた矢は真っすぐに的へと向かっていく。その弦音が響いてくる。
──私はもう弓を引けない。あの音を出すこともない。
それでも弦音が好きだ。正しい射形から導き出される、澄んだ音は美しい。
「美菜、どうしたの?」
料理部の仲間がこちらを振り返る。
「何でもない」
私は私。彩花は彩花。互いの夢はもう交わることはない。
けれどなぜこんなにも満たされた気持ちなのだろう。どうして嬉しくて仕方がないのだろう。
──頑張れなんて他人行儀なこと、やっぱり言わない。私は頑張る。彩花よりももっと頑張る。
──だってやっぱりライバルには、負けたくないから。
「弦音、空に響け」 北原小五 @AONeKO_09
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