第44話? キッ友×闘士 よにんはキラメイター 第13.5話 強襲!!、黒い三連星 

作者からのお願い


この回に出てくる「ステージ上手かみて」「ステージ下手しもて」は、ステージのどちら側を指すのかを示す舞台用語です。

【ステージ上手】が観客から見て右側、【ステージ下手】が観客から見て左側です。


このことを理解して読むと、舞台上の出演者の動きが分かりやすくなります。


*******


 ステージ下手から、一人の女性が出てきた。

 黒のロングドレスのスリットからのぞく白い肌が際立っていた。

 顔はバタフライ型のマスカレードを付けているような、濃いメイクをしている。

 悪役にふさわしく、妖艶と言う言葉がよく似合う衣装とメイクだった。

 そして、その衣装によってボンキュッボンのナイスバディが引き立っていた。

 いわゆる”大きなお友だち”が一番嫌いなタイプだ。

 

 彼女は、ステージの中央近くまで歩いて行って、止まった。

 そして、アムールポリーシェの方を向いてから、お約束の高笑いをした。


 「おーホホホホッ、このマックロロ様が自ら出てきてやったわよ。わらわみずから引継式を真っ黒にしてやるから、覚悟しなさいっ!!」


 それを聞いた翼が言い返す。


 「マックロロ、あなたなんかに引継式の邪魔はさせないわ」


 そう言うと、翼はアイテムをかざし戦闘ポースを取った。同時に他の3人もアイテムをかざした。


 それを見たマックロロは鼻で笑った。


 「お前等ごときに、妾が直接手を下さずとも良さそうね」


 そう言って、舞台下手を向き大きな声で叫んだ。


 「黒い三連星、いらっしゃ~いっ」


 と、どっかの大物落語家のようなイントネーションで呼ぶと、トランペットとドラムを主にしたBGMがなり始め、その音楽に合わせるように舞台下手からスケートボードに乗って3人の男女が出てきた。


 3人は、舞台の真ん中近くまで来たところでスケボーを降りて、ボードを左手に持って、戦闘ポーズをとった。 

 いわゆる、お約束の名乗りポーズだ。


 「アギレラ!!」


 「オルテガ!!」


 「フリオ!!」


 「「「われら、むて~き~のっ、く「違~~~うっ!!」


 名乗りの途中で、向かって左側、オルテガと名乗った男が叫んだ。他の二人は名乗りを止めて叫んだ男の方に振り向いた。


 叫んだ男は、二人の方を向いて怒って怒鳴り始めた。


 「我ら黒い三連星は、痩せても枯れても皇帝陛下直属の精鋭部隊。それなのにあろうことか、どこかの何とか仮面ライダー悪魔リバイスの敵役の名前を使うなど許されるわけがない。マックロロ様直属親衛隊の誇りを思い出せっ!!」


 そこまでいうと、他の二人が苦笑いをした。

 叫んだ男オルテガは、


 「さあ、黒い三連星の名乗りをやり直しをしよう」

 といった。


 「「あ、あぁ」」


 他の二人は、そう答えて正面を向いて、また名乗りポーズを取った。


 「ガイア!!」


 「オルテガ!!」


 「マッシュ!!」


 「「「われら、無敵~の、くろ~い、三連星!!」」」


 名乗った三人は、お約束の決めポーズを取った。

 それを見た”お友だち”以外の観客は、こう思った。


 あれって、【大洋船体太陽戦隊 三春艦サンバルカンじゃん】、悪役でそれはないだろう・・・、と


 観客の微妙な反応を気にする事なく、三人はポーズを取り終わると、中央に立っているガイアが、左右の二人を見た後に言った。


 「オルテガ、マッシュ、ジェットストリームアタックだ!!」


 「「おうっ」」


 三人は、再びスケートボードに乗ってガイアを先頭に一列になって滑り出した。舞台奥から下手方向へまわり、MCのお姉さんのそばを通り過ぎて、ふたたび舞台中央へ滑っていった。そして、アムールポリーシェに向かって突進していった。


 先頭を走っているガイアの手元が光った。その光は放射状に広がりながらアムールポリーシェの4人を照らした。

 4人が腕や手で光を遮ろうとしたため、黒い三連星の姿を見失った瞬間、三連星は、もらったと叫んで背中にしょっていた蛍光灯ブレードヒートサーベルの柄を両手でつかみ、すれちがいざまにアムールポーリシェに斬りつけた。

 もちろん斬りつけた振りだ。


 風切り音とともに、蛍光灯ブレードヒートサーベルが振り抜かれると、きゃあ、と叫んでアムールポーリシェの翼と更井が倒れた。


 舞台上手側に抜けた黒い三連星のガイアが叫ぶ。


 「ちぃ、浅かったか、オルテガ、マッシュ、もう一度ジェットストリームアタックバルカンボールを決めるぞ」


 「「おう、今度こそ決めるぞ!!」」


 オルテガとマッシュの力強い返答を聞くと、ガイアを先頭に舞台奥へとスケートボードを走らせ、さっきと同じようにまわりこんで、アムールポリーシェに突進し始めた時、大きな声が響いた。


 「黒い三連星、あなたたちなんかに好き勝手させないわ」


 その声が終わると同時に、舞台上手から白地にピンクと白地にパープルの衣装を着た二人が走り出てきて、アムールポリーシェの前に立ちはだかった。そして、変身バトンを前に突き出した。


 「キラメキバスター!!」


 二人が技名を叫ぶと同時に、バトンの先端が光った。


 その光を見た黒い三連星は、スケボーから転げ落ちた。技を食らった事を大げさに表すお約束の行動だ。


 舞台の床に転がった黒い三連星のうち二人は立ち上がったが、一番後ろのマッシュが倒れたままだった。


 マッシュと叫んで他の二人が駆け寄り、助け起こした。

 ガイアは、アムールポリーシェとキラメイターの方をにらんで言った。


 「マッシュを倒すとはたいした奴らだ、ここはひとまず撤退だ、マックロロ様もお下がりください」


 言い終わってから、ガイアとオルテガはマッシュを左右から支えるように、舞台下手側に去って行った。


  それを見送ったマックロロは、大きなため息をついた。


 「黒い三連星サンバルカンといいながら、たいしたことないわね」


 そう言ってから、またお互いの無事を大喜びしていたアムポリとキラメイターの方を向いて、にらみつけた。


 「黒い三連星はやられたけど、私の四天王の内、最強を謳われるあいつをよんでやる。今度こそあなたたちを倒して、引継式を真っ黒にしてやる」


 マックロロは言い終わってから、舞台下手の方を向いて、大きな声で言った。


 「連峰の黒い悪魔連邦の白い悪魔、いらっしゃ~い」


 マックロロが言い終わると、トランペットを主体としたBGMが鳴り響いた。

 あの、人気ロボットアニメガ〇ダムの主人公ロボットが登場する時の音楽だ。


 ジュギーン、ジュギーン、


 あのロボットが歩く時の音と共に、舞台下手からガ〇ダムっぽい着ぐるみを着た人物が現れた。顔は丸見えで、ガ〇ダムファンとして有名なあの【顔デカひな壇芸人】だという事は、観客全員が気づいた。

 そいつは、足音に合わせて一歩ずつ歩き、マックロロの前に立った。念のため言っておくと、観客からはマックロロとキラメイターの中間に立っているように見えた。


 立ち止まった着ぐるみガン〇ムは、右手に持った銃っぽい物の先端をアムポリとよんキラに向けて、台詞を言い始めた。


 「わはははっ、俺様はマックロ帝国四天王がひとり、クロジローだぞ~。よんキラとアムポリめ、お前たちを真っ黒にしてやる」


 それを聞いた、キラメキソーラーが言い返した。


 「なによ、クロジローなんて怖くないわ、それに、そのコスプレ衣装ガンダムMarkⅡ、そんなもの着ていると怖い大人バン〇イから思いっきり叱られるわよ」


 ひかりの台詞を聞いたクロジローはせせら笑った。


 「ん~っ、何か言ったかな~、このクロジロー様に版権なんか関係ないぞ~、なんせ俺は、だからな~ わっはっはっはっ」


 台詞を言い終わった、クロジローつっちーは高笑いをした。

 笑い声と同時に、出演者のほとんどと観客全員が太いワイヤーが”ブツン”と切れる音を聞いたような気がした。


 そして観客たちは見た。


 マックロロの正面を横切るように、白い旋風がクロジローに向かって行った。

 直後に観客と出演者全員が驚愕する事態が起きた。




 ん~っ、困りましたね、主人公とゼファーが全然出てこない。




*******


ゆる~い用語解説

【黒い三連星】

マックロ帝国の精鋭部隊に与えられる称号。

けっして、ジオ○公国軍に所属しているとか、ド○に乗っているとか、ルウ○戦役で大活躍した3人組ではありませんよ。


【蛍光灯ブレード】

メタ○ヒーローシリーズでレーザ○ブレードを低予算で演出するために作られた、蛍光灯を使用して「ライトセーバー風」に見えるもの。

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西風に乗って(ゼファーに乗って) 【旧題 三輪スクーター (スーパー○ブではありません)】 静 弦太郎 @katidokimaru123

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