第8話
彼女の名前は早水萌和「はやみずもわ」。僕との関係は家が近所とのこと。近所付き合いから幼い時から一緒に過ごしてきたらしい。そして今回の僕の名前は叶本錣箕「かなもとたつみ」。今は高校2年生のようだ。高校は地元では底辺のぼん高レベルの学校だそうだ。萌和もそこの生徒で僕とは一個学年が下のよう。つまり彼女は僕の一個下の年下なのだ。なぜ僕が病室にいるかというと、体育祭の練習中に組み立てのピラミッドの頂上から落ちて1ヶ月もの間気を失っていたそうだ。その間に精密検査等受けた結果脳にダメージを受け、記憶消失を患ったそう。
昨日までの疾兎との圧倒的違いは萌和は彼女という関係ではなく近所の仲の良い知り合いということぐらい。夏向のことは萌和は知っているのだろうか?萌和から夏向の名前は出てこなかった。
1ヶ月気を失っていた割には昨日の夏向の記憶はしっかり存在している。どういうことなんだ?訳が分からず戸惑いを隠せずにいると萌和が
「錣箕、夏向ちゃんって知ってる?」
急な質問に驚いているが昨日夏向が来て今までのことを教えてくれたから知っている。
「うん、僕の彼女なんだろ?」
そう言うと萌和は少し驚いたようだった。
「知ってたんだ、おっどろき」
最近の若者は訳の分からん言葉を使うものだと自分自身にツッコミを入れていると萌和がつかさず
「もう夏向ちゃんと会わないで。夏向ちゃんと会ったりしたから錣箕はこんなことに」
訳が分からなかった。なぜここで夏向の話になるのだ?夏向と会ったから?なぜ?疑問しか出てこない。なんで夏向がきっかけみたいに萌和は話すのだ?
もう分からない……
記憶消失した後の人生はハカりきれない fuchiyan @fuchi_yan
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