幼児期
第5話 鑑定
乳母によって身体を綺麗にして二人の子供を並べて寝かせた。
もちろんその前に一度だけ軽くイリスには抱かせていた。
父親であるマティアスにはお預けである。
男親はこういう時の力加減が基本的には出来ない。
もう少し安定してからの方が良いと満場一致で決まっていた。
その代わり泣き止んで眠っている二人のおててに小指を絡める程度は赦された。
出産に疲れたイリスも既に就寝している。
メイドや乳母達が交代でイリスと二人の子供を夜通し見ている事になった。
これはある程度の時期がくるまでは、この体制でいる事が決まっている。
その間はマティアスは別の部屋で就寝する。
其処で何が行われているかは誰も知りようがない。
数日が経過し夜泣きにも慣れた頃、マティアスは二人を鑑定してみる事にした。
全員が持っているスキルではないが、マティアスもイリスも鑑定を使える。
生まれて直ぐに鑑定をしなかったのは、単純に出産に慣れていない事による慌てからによるもの。
数日が経過した事で落ち付きを取り戻したということだ。
「なぁ、すっかり忘れてたけど我が子らを鑑定しても良いかな。」
別に断る必要はないのだけれど、一緒に見ようよというマティアスの気遣いだった。
「そうね。バタバタしていて忘れてましたね。」
いっせーので鑑定を掛ける。
鑑定持ちがいない家庭では、教会などで確認してもらう事が一般的である。
「鑑定」×2
「はぁぁぁっぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁ」×2
大きな声で周囲を震撼とさせる。
「ほぎゃぁっぁっぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ」×2
両親の絶叫に吃驚して赤子二人は泣き出してしまう。
「旦那様、奥様。そのように大きな声を出されてしまうとお子様は吃驚して耳がやられてしまいます。」
「すまん。」
「ごめんなさい。」
両親はマリウスとマリーネに謝罪する。
それが二人に伝わるかどうかは別にして。
どうにかして泣き止むのを待つと、二人は先程の鑑定結果について話始めた。
「なぁさっきのは子供達のバカげたステータスを見ての事だよな。」
「そうよ。あなたも同じよね。」
マリウス
職業:大賢者
マリーネ
職業:大聖女
「俺達より凄いんじゃないか?」
「そうね、私達は努力して修行の果てに魔法剣士と魔導士にまで上り詰めたのにね。」
マティアスの生まれた時の職業は剣士、イリスは魔法使いだった。
幼馴染でもある二人は他の仲間と共に修行し、ダンジョン等で実戦し出来る事が開花していった。
挙句は戦争にも駆り出されるようになり若くして1軍を率いるまでになった。
軍といっても冒険者を取りまとめるという意味で、国の兵士というわけではない。
その頃には爆炎の魔剣士、虹色の魔導士というとんでもない人外レベルまでになっていた。
「生まれた時からこんな凄い職業って、前世でどんだけ徳を積んだんだろうな。」
「それか不遇の人生だったのかですね。」
この世界に生きる人達は輪廻転生のようなものを信じている。
前世で良い事していたから今世は良い人になる。
前世で悪い事をしていたから、今世では良い事をしなさいと良い人になる。
逆に、良い人だったから今度は悪い人に、悪い人だったから悪い人にと考える人もいる。
つまりは、勝手な解釈をこじつけているだけなのだけれど、都合の良いように捉えるのは人間のサガかもしれない。
少なくとも、今を生きる人生は良い方でありたいと考えている。
マティアスとイリスはそれぞれ子供の頭を撫でながら……
「俺達の子に産まれたからには愛情に満たされた人生を送らせてやろうな。」
「私達も含めて家族みんなで、でしょう?」
にこやかに笑う夫婦二人。この調子であれば、二~三年後にはもう一人出来そうだなと傍使えのメイド達は感じていた。
(さっきの大絶叫でなんか取得した。でも身体が赤子だから赤子らしい反応しか出来なかった。)
(さっきの大絶叫で音耐性を取得したけれど、これ何かしら。まるでゲームみたいね。)
赤子二人の心の中はこんな感じだった。
新たな生を得たことで、思考も10代程の若者程度に引き寄せられていた。
それでも身体が赤子なので赤子としての反応となってしまう。
飲む寝る泣くの3拍子は赤子の日常であり仕事なのであった。
120歳まで童貞・処女を貫いたら大賢者・大聖女になりました。そして輪廻の果てに二人は双子の兄妹になりいちゃいちゃするそうです。 琉水 魅希 @mikirun14
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