古今東西最強無敵チートモンスター何処へ行く。

くろ

第1話

【この小説は日常に疲れた皆様がお気楽に読める平凡な日常小説です。言ってみればサザエさん的なアレです。小煩い設定や血生臭い活劇がたまに混ざるかもしれませんがチョイとしたスパイス程度の物と思ってお楽しみください】




俺の目の前にそれはいた。


巨大な存在。

力の塊。

周囲に暗雲を纏い、稲光を呼ぶ凄まじきモノ。

強靭な意志と冷静な知性。

それが俺を見る。

全てが見通される、そんな気がしてしまう。

瞳で見られてるのじゃない。

目の前の存在、その知覚が俺に向けられている。

俺に意識を集中してる。

それを感じる。


俺。

俺って誰だっけ?

日本のサラリーマン。

冴えない中年男。

それが俺……。

だったよな。


我は神の獣。

この惑星が産まれし時既に在った竜。

全ての生物を生み出した母。

海で在り大地で在るモノ。

ヒトが産まれし時より見守り続けて来た守護者。

混沌を呼ぶ災いなる支配者。

全てを秩序と安寧に還す絶対なる存在。


何かが俺の中で応える。

なにそれ。

それ俺のコトなの。

神様。

最強無敵っぽい。

卑怯くさくない。


てゆーか何で俺ここに居るの。

場違いじゃない。

夢か。

夢オチなのか。


意識を少しだけ周囲に向ける。

目の前の巨大な存在に、蛇に睨まれた蛙の様に震えながらも精神の一部を辺りへと。


ここ何処だよ。

眼下には惑星。

丸く見える天体。

えーと地球が丸く見えるって事は……。

俺がいる場所は成層圏を突破した宇宙空間?!


真空じゃないの。

一瞬で俺凍り付いて死ぬじゃん。

いや、違うんだっけ。

最近の研究では真空の宇宙空間に放り出されても30秒くらいは人間の身体は保つとか言うんだっけ。

すげーな。

人間の身体。


…俺の身体、人間の身体なのかな。

見たくないものを見る時が来た。

これ以上先延ばしには出来ないんじゃね。

自分の肉体に意識を向ける。

瞳で見るんじゃない。

何かの感覚で察知する。

自分の頭から生えた触覚にカメラでも生えててそいつが俺の全身をスキャンする。

龍。

竜。

その単語が一番近いんだろう。

長い胴体、蛇に似て鱗が生えて手足らしき物も有る。

頭部には角と髭、背には鬣。

長い胴を輪の様に丸くし、宇宙に浮かび上がっている。


そして。

俺の目の前に在る巨大な存在。

それも竜だ。

俺より一回り大きい竜。

その竜が俺を見つめる。

俺も竜を見る。

二体の竜が見つめ合っている。


目の前にいる巨大な竜が頷いた気がした。


「其方は今産まれた。

 我の知識全てを受け継いだ新しい小さな赤子よ。

 我は消える。

 虚無の空間へ拡散する時が来たのだ。

 さらば、愛し児よ」


俺は感じた。

それが居なくなる。

巨大な台風の様な何かが静かに空気に溶けて行く。

後には低気圧すら残らない。


あれは。

あれは俺の母親だったのだろうか。

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