第2話

大聖堂。

人類最大の建築物。

ヒト族の代表が今集まっていた。

『未来を見通す唯一の聖母』の招集に呼ばれた人々。

各地の王族。

名の有る魔導士。

歴戦の勇者。

選ばれた戦士達。


「いくらゴッドマザーとは言え、我々全員を集めるとはどういう事だ」

「名の有る魔導士や戦士が集結している。これでは辺境で暴れる魔族に対抗できんぞ」


「しかし聖母がこの日を指定して招いたのだ。

 何かの意味は有るんだろうぜ」


戦士の頂点である剣聖、大国をやがて率いる事が確定してる王子、既に百年以上人里に現れていない古の賢者。

英雄と呼ばれる人々であった。


人々がざわつく。

賢者、隠者、魔導士。

その知性で、魔力で英雄と呼ばれた人々は感じ取っていた。


「凄まじい魔力が…」

「動いた。魔力が産まれ、消えた」


地震。

地震のように世界が揺れている。

強大な力が世界を振るわせているのだ。


『未来を見通す唯一の聖母』が人々の前に姿を現す。

まだ若い見目麗しき女性。

しかし彼女の能力を疑う者は居ない。

世界最大の教団、その大教皇に見い出され幼子の頃から育てられた女性。

その神聖値は250。

人間の限界値を突破し、既に霊的存在に変異しつつあるのだ。


「皆様、忙しき英雄の方々に集まって戴いたのはこの為。

 今日、これが起こる事を感じ招集したのです」


「いったい何が起きてるんだ」

「有り得ない様な魔力の蠢きを感じるぞ」


「産まれたのです。人間には伺い知れない存在が、今上空に!」


人々は天を仰ぐ。

人類最大の大聖堂。

建築物によって空を見る事は出来ない。

それでも感じ取る事が出来るのだ。


魔導士達であればその魔力を。

戦士達であれば強大な破壊力を。


「私が行こう。

 私以外では無理だろう」


一人の男が宣言する。

他の者は異論を口に出さない。

名だたる英雄たちが自分以外に無理だ、そう宣言されて黙っている。


『獣の勇者』。

狼人の男性と鬼人の女性の間に産まれた子。

種族を越え身籠る可能性は恐ろしく低い。

その中から産まれた存在。

亜人ハーフは能力が低いモノが多い。

それぞれの特性を活かす事が出来ない中途半端さ。

特性自体の数値も低い。

だがその中で奇跡の様な確率で両親の特性をより強化して受け継ぐ者が産まれる。

有り得ないジャックポット。

すでに神話の中の存在。

本来であれば人間に入り混じって暮らす事は無いだろう。

そのパワーはヒト族の中で異質過ぎる。

しかし、彼の傍らには小さな少女が居る。

少女の外見を持つヒトでは無いモノ。

秘術師ギリメカラの造り出した偽りの生命。

その少女の為、彼は人の中で暮らす。


「テオ・テクシステカトル様。

 貴方様はこれをどうするおつもりですか」


「無論倒す。

 ヒト族の平和を乱す者なら全て俺が倒す」


「テオ・テクシステカトル様。

 貴方様はお強い。

 神聖値は800超。

 わたし程度の者が貴方様に意見するは烏滸がましい」


「しかし」


「上空に現れた存在。

 この神聖値は………」


「およそ、3億!!!!!!」


 

人々は静まり返る。

やがて大教皇がポーズを取る。

右手を天に上げ、掌を横に。

左手を下に掌を逆向きに。

右足を上げ膝から曲げる。


伝説のポーズ。

これさえすればどんな場面も許される。

東洋の偉人フジオ・アカツカが産み出したと言う究極の知恵。


テオ・テクシステカトルが叫ぶ。

剣聖が、隠者が、勇者が叫ぶ。


「シェーーーーーーー」

「シェーーーーーーー」

「シェーーーーーーー」


これぞシェーポーズであった。

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