【3】鬼の子


ふたりはしばらく互いの話をした。



それによると、かなめは夜叉やしゃという鬼の父親と人間である母親のハーフで、病床に伏してしまっている父親に代わり夜叉鬼としての仕事をしているのだという。


「夜叉は人間に恩恵を与えることがあるけど、

時には人間を喰らうこともあるんだ。」


そう話したかなめの表情がどこか切なげであったのはやはり彼の身体をはんぶん流れる血のせいであろう。



一方の千幸は、母親は人間だけど父親のことをあまり知らないと言う。

ただ、鬼であることは確かで、その証拠にとシャツを捲って見せた。


そこには、今にも火が出そうな色をした紋章が痩せた白い腹を覆っていた。


「小さい頃のうっすらとした記憶しか無いんだけど、強くてかっこいいお父さんだったよ。この紋章も、お母さんによるとお父さんのにそっくりですごく気に入ってるんだ。」


「でもそうじゃない人もいるみたい。」


言葉は濁したものの、千幸がいじめにあっているということはかなめにもすぐに分かった。


「僕らがはんぶん同士なら助け合えばいいじゃないか。」


かなめの目がより一層暗くなる。


「そいつらに復讐しよう。力を合わせるんだ。」


その言葉に、千幸はかつてないほどの高揚を覚えた。

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わたしたちは、はんぶんこ。 パら @krkr-1203-13

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