【2】はんぶん

頭には二本の短いツノ

クロユリを連想させるような深い色の目

そして右腕一帯を覆う赤い紋章


それらすべてがソイツはではないと物語っていた。



そのオーラに圧倒されてしまっている千幸に対し、ソイツは言った。


「ボクをんだのはキミだね?」


千幸は震えながらも何とかコクンと頷いた。


「ボクの名前は夜叉原やしゃはらかなめ。せっかく喚んでくれたのにこんなのでごめんね。」


かなめ、と名乗ったソイツは嘲るように早口でそう言う。


「ボクは半鬼なんだ。人間と鬼の。」

「だから力もはんぶん。キミの望みを満足に叶えてあげられないかもしれないんだ。」


“はんぶん”


その言葉に千幸は目をまん丸にしてものすごい勢いで反応した。


「わたしも…はんぶん、だよ…」

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