第9話 終焉と始まり

かつて、闇の神とされる者がいた

それは『黒き意思』とも呼ばれた。

それは、闇の住人にとっての要となった。



「ソフィアさん!大丈夫ですか??」


「あ…、う…」


ソフィア隊長の傷は塞がったように見える

しかし、まだ体力は戻っていないようだ


それでも、顔色が戻り 一命をとりとめたようだ。



「君は…?」


光りに包まれたように見える、白き少女 女性?


彼女を見つめる


彼女は表情を変えず、出口の方を指さした。



「ありがとう…!」


ソフィアさんに肩を貸し、外を目指し歩き始める


建物の中で怪物の鳴き声のような音が共鳴している


あの球体を倒して、何らかの影響が出ているのか?



もう一度、彼女の方を振り返る 一緒に脱出しなくて良いのか


彼女の表情は意識のない人形のように見えた。

まだ完全に目覚めていないような微睡んだ顔


一瞬、目が合った そして、彼女は消えていた。



不思議な事ばかり起こるが、混乱し過ぎて逆に冷静になっている

まずはとにかく脱出だ。


出口に辿り着く、扉は開いていた。



その付近に、あの黒い獣が集まっていた


4体、5体はいる


「ハァ…ハァ…」


戦う体力など残っていない


しかし、不思議と怖くはなかった


変異体、奴らはこちらを窺い僕を見ている。


赤い眼玉のようなモノを出し、こちらを見て来た

個体によって目玉がいくつもあったり、違いがある


だが、奴らは警戒したように ゆっくりと身を引き

去っていった。



何を警戒したのか?

この遺跡であった事が関係あるのだろうか…


「うっ…、今のうちに急ごう…」


隊長が呟く

良かった、意識が戻って来たようだ


「はい、とにかく安全なところへ」


「すまない、君がいてくれて良かった…」



照れくさくなる、不思議な気持ちだ

これが冒険の興奮と感動というモノだろうか


あんな恐い想いをしたのに僕は、騎士を志す気持ちを新たにしていた。




2人は、光の中へと歩いていく

その後はおそらく、仲間や村の者に救助されるだろう


彼がこの遺跡で体験したこと、出会ったモノはなんだったのだろうか?

それはまだわからない


だが、一つだけ確定している未来がある。



彼が、その後

この世の人間の9割を滅ぼし、世界を闇に染める


”闇の王”と呼ばれることになる存在だということ



しかし それはまた、ずっとずっと先の

また別のお話…



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黒血の騎士 邂逅 闇月夜 @zerotukiyo

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