新たな人類となった彼らは,しかし旧人類以上に面倒臭い.

恐らく日本で一番有名な,青く耳のない猫型ロボットが,自分で努力をしないことに掛けては人後に落ちない少年のために,ありとあらゆる「道具」を用いて少年を助けたり,ときには罠にはめてみたり,と言うあの物語を彷彿とさせます.それと違うのは,それぞれの人物に用意された「道具」が1種類であること,そして,それが必ずしも役に立つとは限らないこと.
新たなテクノロジーをもたらされた彼ら「ホモ・テクス」は,そのテクノロジーの一点を持って「ホモ・テクス」足り得ることとされましたが,その実はホモ・サピエンスの延長線上に存在するだけのもので,パーソナリティに起因する問題はどう存在するのか,どう影響するのか.そんなポイントを的確に突いた,ショート・ショートならではの「キレの良さ」を感じさせる快作です.
※9章まで公開の時点で書いています.