みーんなみーつけたっ!

黒銘菓(クロメイカ/kuromeika)

第1話

 「龍二君見つけた!」

 土手の草むらを指差してそう叫ぶ。

 「マジかよ……」

 がっかりした顔を間見て鬼はご満悦。

 「よーし次だ!」

 土手を駆け上がり、近くの公園に今度は向かう。

 「茅乃ちゃん見つけたよ!」

 公園の木の上を見てまた叫ぶ。

 「なんでばれたの?」

 驚く顔が嬉しくてしょうがないとばかりに跳ね回る。

 「えへへ、ないしょー。」

 嬉しそうな顔でそのまま今度は滑り台の方へ。

 象の形の滑り台の下。コンクリートのかまくらのようになった所へ駆け寄り。

 「九十九君いたー。」

 逃げようとしたところで見つかった。

 とても悔しそうな顔が浮かぶ。

 「よーし!全員見っけ!今日は僕の勝ちだ!」


 「夜空よぞらー!何しているの-?帰るわよー、晩御飯よー。」

 「あ!お母さん!」

 声のした方に全力疾走、して急に振り返る。

 「皆、またね!」

 全力で腕を振り回し、不知火夜空は家路についた。


 「ねぇ夜空、今日はなにして遊んでたの?」

 「今日はね、龍二君と茅乃ちゃん、九十九ちゃんとね、かくれんぼして見つけたの。皆!」

 「そう!良かったわねぇ。」

 楽しそうな母子は家路につく。


 (龍二君と茅乃ちゃんと九十九君ねぇ……………なんで知ってるのかしら?…………まさかね。)

 不知火日向は首を傾げていた。

 自分が見た時、夜空はで遊んでいた。

 辺りに子どもの影は見えなかった。

 そもそもこの辺りに夜空と同い年の子どもは居ない筈。


 龍二・茅乃・九十九…………。

 その名前は聞いたことがある。

 新聞で。

 夜空は…息子は、一体誰と遊んでいるのだろうか?

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