確かにタイトル通りなことに逆にびっくりするお話

 口説いてきた男性に対しての語りかけの形で綴られた、とある女性の〝異能〟にまつわる思い出話。

 いわゆる異能の登場する、「すこし不思議」的なSFです。
 突然口説いてきた男性への語りかけの形式で、その軽妙さがすでに面白い。独特の節回しに惹かれて読み進めるうちに、思わぬところまで連れて行ってくれる見事な作品でした。面白かった〜!

 以下はネタバレ……というほどではないのですけれど、できれば余計な先入観なしで読んで欲しいお話だと思いますので、気にする方はご注意ください。



〈  以下ネタバレ(?)注意!  〉

 まったくタイトル通りの物語でありながら、きっちり登場人物の人生のドラマ(恋愛劇)をやっているところがもう本当に大好き。
 この読み終えた瞬間の満足感! ある種のベタさ、と言っては語弊があるのですけれど、「そうあるべきだしあって欲しい」と感じるところに着地してくれる、その手管の見事さに惚れ惚れします。

 お話運びというか、本当に見せ方や語り方が巧みで、ぐいぐい先へと引っ張られてしまう。特に「ほんの一歩先の展開を予想(予感)させるタイミング」の巧妙さと言ったら!
 しっかりSFしながらも小難しいところのない、スパッと気持ちよく読める佳作でした。

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