第23話 催眠術の使い方はこうでしょう!(最終話)

 あれから特に変わった事はない。

 あれと言うのはあかねに催眠術が効かない事がわかってからだ。

 まあ、あかねは俺が催眠術を使っているなんて思っていないからそこだけは安心だ。

 

 話は変わるが俺の高校生活は先ほどにも述べたが変わった事は得にない。

 今は夏休みまで残り2週間と言う所。

 丁度もうすぐ1学期の期末テスト終了のチャイムが鳴る頃だ。

 後は人生で一度しかない夏休みをエンジョイするだけだ。


 そしてチャイムが鳴りテストが終わる。

 それと同時ある男が俺に声を掛けて来た。

 俺の中学と同じ出身の高木健たかぎけんだ。

 

 「上杉うえすぎ!お前暇だろう」


 おいおい高木よ、俺にいくら友達がいないからと言ってその言い方はかなり…かーなーり傷つくぞ。

 まあ、現実は暇なのだが。


 「暇と言えば暇だけどなんか用か?」

 「実はな、えみことえりかと海に行く事になったんだけどお前も行かないか?」


 なっなんだと?

 えみことえりかだと!

 確かえみことえりかは一番最初にカラオケに行った子達じゃないか!

 しかも、安藤あんどうえみこはデカいおっぱいだ!

 本当に高校一年生なの?と疑いたくなるようなデカさだ。

 デカメロン安藤あんどう

 

 斎藤さいとうえりかは俺と一度だけ日直が一緒になった子。

 えりかちゃんのスカートの短さは犯罪的な子だ。

 

 答えなぞ最初から決まっている。


 「行く。いや、絶対に行く」


 俺は目を血走りながら高木たかぎに答える。

 若干高木たかぎは引いているが問題ない。


 「そうか、それじゃあ人数的にも他にお前も誘えよ」


 え!?

 俺が人を誘うだと?

 だがここで誘う相手がいないとなると気まずくなるよな。

 よし、なら…。

 

 「それじゃあ行くか行かないかは分からないがお前も知っている、進藤茜しんどうあかねと同じ部活の4組の皆川涼子みながわりょうこを誘って見るよ」


 俺は少し勇気を振り絞り答える。

 だが、高木たかぎはいきなり俺の両肩を掴んできた。


 「上杉うえすぎ進藤しんどうはどうでもいいが、皆川涼子みながわりょうこ!彼女だけは絶対に誘え!いいな!これはお願いじゃないぞ!ミッションだ!行け!上杉うえすぎ!」


 高木たかぎは俺を強引に立たせると指で廊下の方を指を指す。

 あ~今から行けと言うんだな。

 はいはいわかりましたよ。

 俺は諦めて足を1歩踏み出した所で高木たかぎから声がかかる。

 

 「誘えたら今週末にみんなで水着を買いに行くからそこにも誘えよ」


 又、無理難題を…。

 俺は高木たかぎの方を振り向かずに手を振って答えた。

 俺は廊下に出て隣の2組へとやってきた。

 ここはあかねがいるクラスだ。

 だが、あかねの姿は見えないので先に4組へとやってきた。


 廊下から4組を覗くと皆川涼子みながわりょうこの姿が見えたので俺は声を掛けた。


 「皆川みながわさん」


 俺は彼女がこちらを振り向いたので手招きする。

 だが振り向いたのは彼女だけではなく、俺に敵意…いや、殺意の目を持った男達もだ。

 俺は少したじろいだがここは我慢する。

 彼女はスッと席を立ってこちらへやってきた。


 「何か用?」

 「あ~実は…」

 

 俺は海の事と水着を買いに行く誘いの話をした。


 「ふ~ん、まあ暇だから行ってもいいけど…私が海でナンパされないようにあなたちゃんと守りなさいよ!」


 なんつう上から目線!しかも最初からナンパされるのが分かっているような口ぶりだ。

 だが、彼女の容姿はとびっきり可愛いのでしょうがない。


 「ああ、守ると言う約束は果たすよ」

 「なら、行ってあげるわ。あなたは私の水着姿でも見て興奮していればいいわ」


 ちょいとムカつくが我慢だ。

 そして俺は待ち合わせ日時と場所を伝え別れた。

 はぁ~1人誘うだけでも疲れた。

 俺はトボトボと歩いて2組の前に来た。

 ちょうどそこへあかねが現れた。


 「あかね、ちょっといいか?」

 

 あかねは友達と一緒だったのかその場で断っていた。


 「なあに?珍しいよね涼太りょうたが来るなんて」

 「ああ、実は俺のクラスと他の人合同で海に行く予定なんだけどあかねもどうかなと誘いに来たんだ」

 「海かぁ~どうしようかな」

 「ああ、無理にとは言わないぞ」


 俺がその言葉を発した瞬間にあかねの目つきが鋭くなる。


 「まだ行かないなんて言ってないんだけど!」

 

 なっなにかあかねの地雷を踏んだみたいだ。

 俺は黙って次の言葉を待つ。


 「それで誰が行くの?」

 「1組は俺、中学の時の高木、安藤あんどうえみこ、斎藤さいとうえりか、それと4組の皆川涼子みながわりょうこだ」


 「あっあの女も行くの!」


 あの女…たぶん皆川みながわの事か。


 「ああ、一緒の部活だから誘った」

 「行く!行くわ!」

 「そっそうか、それじゃあ…」


 俺はここでちょっとした悪戯を思いつく。

 俺は海の事と水着を買いに行く事を伝えあかねと別れた。


 俺は1組の自分のクラスへ帰り進藤茜しんどうあかね皆川涼子みながわりょうこを誘った事を高木たかぎに報告すると、大声で叫びクラス中の迷惑となった事は言うまでもない。

 

 *


 そして週末の駅前時刻は9時55分。

 俺はビルの木陰から高木たかぎ達が集まっている様子を見ている。

 待ち合わせは10時だが、あかねだけには10時10分と伝えてある。

 理由は簡単だ。

 悪戯を仕掛ける為だ。

 10時になる頃に高木たかぎ安藤あんどうえみこ、斎藤さいとうえりか、皆川涼子みながわりょうこが集まっていた。

 こいつらは俺の催眠術が効く奴らだ。

 俺はゆっくりとそいつらが集まる場所へ歩いて行く。

 そして声を掛ける。


 「お待たせ」


 そして4人が俺に振り向いた瞬間に俺は右手の指を『パチン!』と鳴らす。

 すると4人の目がトロンとする。

 催眠成功だ。

 そして俺は命令する。


 「今から水着を購入するが自分たちが一番きわどいそして一番セクシーな水着を選べ」


 そして俺は催眠を解く。

 だが俺は催眠を解いてから失敗にきずく。

 しまった~!男の高木たかぎまで催眠に掛けちまった!

 もしもあいつがセクシーと思いブーメラン水着を選んだら全力で諦めさせよう。

 海で高木たかぎのもっこりパンツなんぞ見たくないからな。

 俺は堅く心に誓う。

 

 そして声が響く。

 あかねが来たようだ。

 だが、一人あかねの遅刻を快く思わないのがいる。

 本当は遅刻ではないのだが彼女達にはわからない。


 「お待たせ待ったかな?」

 

 あかねが声を掛けた瞬間に皆川涼子みながわりょうこが前に出る。


 「時間も守れないのこの…」


 俺はその瞬間にあかね皆川みながわの間に割って入る。

 皆川みながわが「ちょっと!」と怒っているが無視してあかねの方を向く。


 「あかね待ってたよ。今日の服可愛いね」


 俺は服もろくに見ずにあかねに声を掛ける。

 だが効果はてき面だ。

 あかねは頬を赤らめて照れている。

 そして俺はみんなに声を掛ける。


 「さあ、みんな揃ったし水着を見に行こう!」


 俺の言葉でみんなショッピングモールの方へ歩き出した。

 皆川みながわは少し俺を睨んでいたが笑顔で答えておいた。


 さあ、みんなどんな派手でエッチな水着を買いに行くか楽しみだ。

 やっぱり催眠術はこう・・使わないとな。


 俺の青春と夏は今始まるのだった。



 <おわり>

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催眠術を覚えた俺は自分の欲望の為に使う事にした件 まさひろ @masahiro0316

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