異能の功罪、あるいは弊害のような側面

 特殊な超常能力を持つ人間が当たり前のように存在する社会での、とある青年と少女の物語。

 現代ファンタジーです。いわゆる「異能」が登場するものの、それで胸躍るバトルなどを繰り広げるわけではなく、「そういうものが普通に存在する社会」の一面を描いた作品。

 ある種の思考実験というか、「フィクションによく見られる超常的な能力が実際に実在する」ものと仮定して、それが人々の意識や生活にもたらす負の側面に焦点を当てたお話です。
 物事の皮肉な一側面を切り出すという意味では、ショートショート的とも言えるかもしれません。

 そのまま私たちの暮らす現代に通じる部分もあり、単純な好悪や、自らをどの立場に置くかも含めて、いろいろと考えさせられるところの多い作品でした。