最終話 君と一緒なら

 宣言通り、特上鰻を涼帆に振る舞って財布が悲鳴をあげた。


 午後9時。

 荷物を手に、俺たちは弁天島駅にやってきた。


 今夜中に、新たなる目的地に向かうためだ。


「どこか行きたいところ、ある?」


 お馴染みの問いを七瀬に投げかける。


「そうね……」


 顎に手を当てて黙考する涼帆を見て、俺も思考を巡らせる。


 思い返すと、涼帆はこの問いに対しこれまで天国、地獄、あの世、冥土と返していた。

 

 どこか死を意識している涼帆なりのブラックジョークだろう。

 いつしかお決まりのパターンと化していて、どんな大喜利返しが来るかと楽しみにしている自分がいた。


 予測してみる。

 冥土ときたら、次は冥府とか? それとも……。


「名古屋とかどうかしら? 位置的にも隣だし。あと、味噌カツを食べてみたいわ」


 予想外だった。

 どうやら涼帆の中で、大喜利ブームが去ってしまったようだ。


 ……いや、違うな。

 この変化こそ、涼帆の心境の変化だ。


 死ではなく、生の方向に意識が向いた証拠だ。


 うん、きっとそうだ。

 そうに違いない。


「何笑ってるのよ」

「いいや、なんでも」


 思わず涙が溢れそうになるのを誤魔化すように笑う。


 俺はぽんぽんと涼帆の頭を撫でた。

 以前と違い、涼帆は満更でもなさそうだ。


 梳き心地の良い黒髪を撫でながら、思う。


 これからどんな旅路が待ち受けているのか、何もわからない。

 解決していない問題も山積みだ。

 両親とのこと、学校のこと、お金のこと、そして、七瀬のこと。

 

 不安がないかと言えば、嘘になる。

 だけどただひとつ、わかっている事がある。


 涼帆と一緒なら、この旅はきっと楽しい。


 それだけは覆えようのない事実だと、改めて思った。


「いつまで撫でてるのよ」

「ああ、すまん」


 ぱっと手を離す。

 いつもの不機嫌顔ではなく、涼帆の口元には笑みが浮かんでいた。


「それで、どうなの?」


 尋ねてくる涼帆に、俺は笑顔を向けて言った。


「いいね、名古屋。楽しみだ」


 俺たちのぶらり旅は、まだしばらく続くようだ。








〜あとがき・書籍化告知・後日談について〜


 情報量多いわ!!

 と思われた方、ごめんなさい。


 でも最後なので、少しだけお付き合いいただけると嬉しいです。


 一番気になる部分から行きましょう。


【美少女とぶらり旅、書籍化決定しました!!!!】


 翔が! 涼帆が! 瑠花さんが! 奏さんが!


 絵になるよ!!


 めちゃくちゃ尊い表紙の本が書店に並ぶよ!!


 いやまさかのね……予想外の展開に僕自身びっくらこいております。


 これも応援くださった読者の皆様のおかげです。

 本当に感謝してもし切れません、ありがとうございます。


 現在、加筆修正をしております。

 紙の本で読んだ時に最高の読書体験を提供できるようにブラッシュアップゴリゴリ進めているので、書店に並んだ際には是非お手に取っていただけると嬉しいです!!


 レーベルやイラストレーターさん、そして発売日の情報はまた追って告知致しますが、そう遠くないうちにお伝えできるかと思いますので、今しばらくお待ちいただければと思います。


 短いですが、告知については以上です!


 というわけで次は、作品を書き終えての所感と今後についてですかね。


 まずは謝辞を。

 びじょ旅(略した)をここまで読んでくださってありがとうございました。

 たくさんの評価や感想をいただけて、とても励みになりました。


 僕の前作から追いかけてくださっている方も、この作品が初めてという方も、総じて感謝しかございません。


 おかげさまで無事、完結を迎えることできました。


 実は今作は、『主人公がヒロインに対する愛を感情のままに叫ぶ展開を書きたい!』

 という、僕がかれこれ10年くらい沸々と心底に溜めていたモチベーションがメインで書き切った作品でした。


 ずっと書きたかったんですよね、主人公が世界の中心で愛を叫ぶ展開。

 「この題材なら書ける!」と思ってやってみました。


 良い感じになったかどうかは読者の皆さんそれぞれ感想があるかと思いますが、個人的には最高で最高の形でセカチューできたと思うので、満足です


 改めて、好きな女の子のために一生懸命がんばる男の子は最高だと実感しました。


 この展開に全ての情熱をかける勢いだったので、書き始め当初はぶっちゃけここでスパッと終わらせるつもりでした。


 だって主人公にせかちゅーさせて満足したし。

 後日談もなし! 堂々完結! って感じで。


 ……と、思ってたんですが。


 もっとこの二人に日本中を旅させたいなあと思うようになり、

 ツンツン涼帆ちゃんがデレて翔にぎこちなく甘える的な展開書きたい欲が大爆発し(煩悩)

 感想欄に「もっと旅をする二人を見たいです!」という声が多数寄せられて、決めました。


 後日談、書きます!!


 次は名古屋だ!!


 味噌カツ食うぞ!!


 なんかいい感じに良いスポットに行かせるぞ!

 (名古屋在住or名古屋旅行経験者の皆さん! ぜひ名古屋のおすすめスポット教えてくださいw!)


 というわけで、もうしばらくびじょ旅とお付き合いいただけると嬉しいです!


 とはいえ現状、プロットもなーんもない上に、書籍化作業のバタバタもあると思うので、

 投稿はもうしばしお待ちいただけると幸いです。


 また名古屋で新キャラ(美少女)出したいですね。


 11月上旬-中旬目処に投稿再開しようと思います。

 そのあたりでレーベルやイラストレーターさん、発売日も一緒に告知しようと思うので、ブクマはそのままでお待ちいただけますと幸いです!


 さてさて、長々と書き連ねましたが、最後に皆様にお願いがございます。


 びじょ旅を読了し、『面白かった!』『お疲れ!』『後日談も楽しみにしてるよ!』『書籍化おめでとう!』と

 少しでも思ってくだされば、感想や☆レビューなどいただけると嬉しいです


 びじょ旅の書籍化にあたって、より多くの人々にこの作品を届けたいという思いがあるため、ご協力の程何卒よろしくお願いいたします。


 以上です!


 今作もありがとうございました!


 お読みくださった全ての読者様に感謝。


 2021/8/20


 青季 ふゆ

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