第39話 ありがとう。お元気ですか?

 十二月に入ってから、村では芽キャベツの収穫があちこちで行われている。

 セレナを連れて畑のあぜ道を歩くと、村人からおすそ分けを渡された。

 かごの中身は芽キャベツが入っている。

「ありがとう」

「セレナさま。今日も元気そうで」


 農民は笑顔でセレナを見あげた。

「夜は芽キャベツとリーキでポタージュでも作る?」

「そうしたら」


 村にはあらゆるところに子豚が徘徊はいかいしている。

 秋に実るどんぐりを食べて、体はたっぷりと肥えていた。 

「豚が横切っていくよ」

「今年は8頭買ったらしいね」


 二人が家に帰ると、村に来訪者がいると告げられた。

 リヨンは剣を持って、急いで門に向かった。


 銀髪で褐色肌の耳が長いエルフが大勢見える。

 黒髪のアーテルやクルーデリスの姿も。

 ダークエルフが約五十人の仲間を連れて、村に戻ってきたようだ。

「アーテル入ってくれ。村の南部へ」

「村長。恥ずかしながら帰ってきました」


 四台の荷馬車が石畳の道を通る。

 馬が引く荷馬車には剣やよろいなどの武器が満載されている。

 ある荷馬車には麦が入った袋が見える。












(続く)

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勇者が村長になりました ~リヨンの辺境開拓記~ 阿野ミナト @RAM06

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