23世紀の未来

 着信があった。


 同時にそれはノックの音でもあった。


「この番号はアイツだな。ちょうど暇していたところだ」


 男が空中で指を動かすと、すぐさま部屋に備え付けられた電話機から粒子のシャワーが出てきて、それが人の形になった。


「やぁ。久しぶりだな」


 電話機から出てきたのは男の友人だった。2222年ではテレポート装置も開発されたので、このように電話機を通していつでも行きたいところに行けるのだ。


「久しぶり。最近の調子はどうだい?」


「まずまずだよ。ところでどうだい? 一緒に体を思いっきり動かしたいなと思って来たんだが」


「ではVRゲームでもやるか」


 男が空中で指を動かすと、電話機からヘルメットのような物が2つ出てきた。男と男の友人はそれを頭に着けた。

 そのヘルメットは被った人間をVR空間へと誘うのだ。2223年ではVRゲームも開発されたので、このようにいつでも異世界に行ったかのような体験が可能だ。


 男と男の友人は遊んだ。

 それはもう時間も忘れるほど遊んだ。

 しかしいくら楽しくてもいつかは飽きが来る。


「なぁ、次は飯でも食わないか?」


 男の友人がそう言った。

 確かにゲームも良いが、美味しいご飯を食べるのも悪くない。男は電話機で料理をいくつも注文した。


 男と男の友人はゲームをやめて、貪るように料理を食べた。

 これは美味いぞ、これはまずいなと会話を交わしながら、時間を忘れるほど食べまくった。2224年ではどれだけ食べてもお腹がいっぱいにならないような食材も開発されたので、このようにいくらでも好きな物を食べていられる。


 しかしやっぱりいつかは飽きが来る。

 男と男の友人は遊び会話し食事をし、一緒の時間を楽しんだ。


「おや、もうこんなに時間が過ぎているじゃないか」


 男の友人が言った。


「本当だ。もう3年も過ぎている。そろそろお別れと行こうか」


 男と男の友人は別れを告げ、男の友人は電話機から自分の家に帰っていった。それから男は、次はなにをしようか考えた。


 なにしろ時間はたっぷりある。2225年では不死身不老不死になれるので、このようにいくら遊んでも死ぬことは決してない。なので人々は時間が一瞬で過ぎてしまうように感じるのだが、不死身不老不死が与えてくれた無限の時間に比べれば大したことではなかった。

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