何でも屋
着信があった。
「もしもし。なにかご用はありますか?」
「なんだ、そっちからかけてきたのというのにご用はありますかとは。聞きたいのはこちらの方だ」
「申し訳ございません。私は何でも屋をやっておりまして、このように電話で注文を取っているので、あのような文句になってしまうのです」
「つまりなんだ。頼めばなんでもしてくれるというのか?」
「えぇ。しかしいくつか条件があります。1つは人智を越えた要求は呑めないということ。不老不死にしてくれなんてものは私にも不可能なのです。2つめは、依頼料は依頼なさった要件の複雑さに比例するということです。ロケットを作れと言われますととんでもない金額が必要になりますし、辞典を紙に写せと言われますと、こちらも大変な額となってしまいます」
「なるほど。ではちょっと頼んでみようかな。この星でもっとも大切なものはなにかな? 1つじゃなくても良いぞ。教えてくれ」
「ははぁ、まずは信用に足りるかテストというわけですね。このような例は初めてですが、回答させていただきます。やはり命でしょうか。しかしその命を支えるには水や食料が必要ですよね。水や食料を得るには知識が必要ですから、もっとも大切なものは知識でしょうか? いや、しかし知識があったとしても・・・」
「分かった。もう良いぜ、あばよ」
「あっ、依頼料も払わず電話を切られてしまった」
「どうやらあの星の生き物は食べ物がないと生きていけないらしいぞ。それを奪って支配してやろう」
そう言って、地球の侵略に来たケラ星人はニヤリと笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます