2022年7月28日時点で、全116話、321,202文字、2022年4月3日からの長いご執筆もお疲れ様でした。
時折、お加減が芳しくないとのお声も聞きましたので、心配しておりました。
三冊は出せる勢いでのご無事の完結、誠におめでとうございます。
ジャンルは、現代ドラマとなっております。
男子が僅かだが、女子校だった所に入学したらどうなるのか。
そこからドラマは始まります。
私は、躓き易い一人の人が、独りでどうするのか、そこを重視して拝読いたしました。
主人公、見嶋行雄は、そんな筈ではないのだがコースを進みがちです。
悪気は全くないのですが。
最後に向けて力を合わせて行く姿がよかったと思いました。
大変なこともありましたけれどもね。
好きな登場人物は、七瀬先生です。
いやあ……。
作風は、文体は崩してはおりますが、しっかりしたものを書きなれていらっしゃる作者様の名残りが見えますが、中でも、新しさにも取り組んでおり、新境地もおありかと思います。
もう、ラストまで、ガンガン上げて行きますから、目を離せません。
何にかと言いますと、要するに、人間関係ですね。
悩み多きお年頃なのでしょう。
先生からして、まだアオハルかと感じてしまいました。
様々なごちゃごちゃしたことを振り返るよりも前を向いて行こう。
そんな、メッセージをバトンの形で受け取った気がいたします。
家の長男もただいま資格取得中です。
就業の為でして。親近感わくな。
感動をありがとうございます。
是非、読了なさってください。
空の色が変わって見えそうです。
待望の高校生活が始まって早々、教室での居場所をなくした主人公・行雄くん。
彼は風変わりな教師・七瀬先生と出会い、廃部寸前の文芸部の部長になります。
図書室登校の弥富先輩や、教室では目立たないタイプの優等生・明椿さんも加わり、文芸部ははみ出し気味な彼らの居場所になっていくのですが……
「ぼっち」は、自嘲的にも使われる言葉です。ネガティブ思考の行雄くんのキャラ性を表すのに、これ以上ない語でもあります。
だけど、教室外にでも居場所はあるのだということ。
ネガティブなままでも、前へ進めるということ。
ひとりであっても、誰かと隣り合って歩くことができるということ。
行雄くんがダメな自分を受け入れて、自分の足で歩むまでの道のりが、非常に丁寧に描かれています。
原風景のようによぎる、幼き日の憧れの人『タク兄』との思い出。
迷いながら、傷付きながら選び取った道で見つけた、本当に大事な譲れないもの。
行雄くんの中に募っていく「大切」に、何度も深く共感しました。
物語を貫く「ひとり」の人生というテーマが、行雄くんのこれまでの足取りと今後の明るい未来に収束していく、素晴らしいラストでした。
多くの人に読んでほしい作品です。