幽霊の正体
バブみ道日丿宮組
お題:純白の女 制限時間:15分
幽霊の正体
友だちが大学で純白のワンピースを着た幽霊を見たという。ずっと泊まり込みで研究してるからそのせいだろうと同じ研究室の仲間がいってが噂は徐々に広がってた。
決まった時間はなく、ふとした時に現れて微笑んでくれるのだという。
こちらを襲うようなことも驚かすこともなく、すぅと消えてく。まさに幽霊といえる。
そして俺もついに泊まる案件が発生してしまったために、研究室で今夜食を作成中だ。夜食と言っても、ただのカップラーメンに過ぎないが栄養は大事だ。
糖分と塩分を補充するためにチョコレートを入れたから、醤油ラーメンなのに茶色だが腹に入れば一緒だ。短期間で効果があるなら味なんて大したことない。
「美味しいの?」
「えっ」
研究室に俺しかいないはずなのに声がはっきりと聞こえた。
だが、研究室を見渡しても人の気配はない。
徹夜でゲームクリアして研究しようというのが間違ってに違いないと、カップラーメンの元へ急ぐと
「……ん?」
中身がかなり減ってた。
いや、減ってるというよりかなくなってるーー大事な麺が。
「はぁ……」
穴でも空いてたかとカップを調べてもそれらしいものはない。それもそのはずだ。穴があけば中の液体が溢れるし、麺が全部なくなるという結末は迎えない。
これはいわゆる噂の幽霊か。実害がないと言われてたのに実害が発生してしまった。
「いるなら、勝手に食うのはルール違反じゃないか?」
「ごめんね、お腹空いてた」
机の下を覗けば、ワンピース姿の少女が体操座りでこちらを見てた。
「ぐぇ!? ゆ、幽霊!?」
「違うよ、ほら」
そういう幽霊は俺の足を掴んできた。
「ねっ?」
「うーん……」
触れるタイプの幽霊や妖怪はいるし……そのタイプの可能性も。
「信じてない顔だね?」
仕方ないなと少女は机の下から出てくるとなぜか俺の膝の上に座った。
「これでどう?」
「どうって……取り憑いたってことか?」
「そうじゃないよ。人の体温を感じるでしょ?」
確かに少女のお尻からは人のぬくもりを感じるとともに、違った感覚がすりすりと俺の神経を刺激してくる。
「い、一回降りてくれないかな」
「えー幽霊っていうんでしょ! やだ!」
少女のお尻がふりふりと優しく撫でてくるせいで余計に男としての機能が覚醒しそうで、
「わっ!?」
無理やり少女を持ち上げると膝の上からどかした。
「た、確かに持ち上がる幽霊なんていないな」
「そうでしょ? でも、お兄さんすけべだな」
ふふと少女は笑う。
「これは違うからな」
手元が狂ったこともあるが、少女が見つめる場所は急所だった。
これが俺と後の嫁になる女との出会いのはじまり。
幽霊のように行動してたのは、忍者の家系で修行に適した大学ビルだったかららしい。
「懐かしいの見てるね?」
「あぁ、今もお前はちっこいままだけどな」
怒る彼女はまるで色あせないキャンパス。
愛を忘れない味だ。
「もう、知らない!」
幽霊の正体 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます