7

 俺たちがいたのは、最寄りの空港がある島のホテルの一室だった。俺が気絶している間に運ばれたらしい。俺が攻撃を仕掛けてから六時間ほどが経過していた。


 まず俺は気絶したままの連中の力を封じた。やり方は簡単。テープでも接着剤でもいい。それを使ってまぶたを開かないようにすればいいのだ。それだけで「観測」ができなくなり、連中は能力を発揮できなくなる。もちろん手で無理矢理まぶたを開かせないように、両手の自由を奪っておくことも必要だ。


 そうして俺は現地の警察に匿名で通報すると、さっさとホテルを出て空港に向かい、日本に帰る便に乗り込んだ。


 遠ざかっていく島を見下ろしながら、俺は考えていた。


 今回はなんとか勝利することができた。しかし、今後第二第三のリヴァイアサンが現れないとも限らない。どうやら「ミラーワールドの住人」は意外にたくさんいるようだ。


 それに、謎もまだ全て解明されていない。なぜミラーワールドが存在するのか、なぜ俺たちだけがそこに行けるのか……俺がやらなきゃならないことは多そうだ。


 だけど今は、休むことにしよう。


 俺はシートに深く身を沈めた。

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三時に三時の異世界へ Phantom Cat @pxl12160

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