人はどこまで捨てれば自由になれるのか。

シナリオ自体の奇妙さもさることながら、何より特筆すべきはその独自性あふれる文体でしょう。

早回しのテンポではありますが、読みづらいということはなく、夢を見ているかのように、不思議と受け入れることできる語り口となっています。

誤解からその医師の前へと連れて行かれてしまった、『私』。果たして彼女は憂世の辛みを捨てて、得たものは本当に自由であったのか?

ラストまで突き抜けた後、もう一度最初から見るとまた違った目線で楽しめて二度美味しい良短編です。