第5話 ああ最悪な一晩へ!!
「承りました。ではこの初期職業一覧から職業を選んで触れてください」
受付嬢から職業一覧表を渡され、それを見ながらハルトは職業を選ぶ。
「ハルトは何にするんですか?」
受付嬢から渡された表を見てハルトはむむむとあごを撫でる。
剣士 テイマー 魔道士 ヒーラー
ナイト 狙撃手 騎士 アサシン
プリースト 冒険者
これは大事に決めなければならない……慎重に決めなければ………
「ハルト聞いてるんですか?」
ここは無難に剣士か……それとも魔法使い……冒険者はないな……どうせなら何かしら職業につきたいしな……
「もう!! 無視なんてひどいです!! 冒険をするんだから冒険者でいいでしょう!!」
ピッ
『ハルト 職業 冒険者に決定』
「て、てっめぇぇぇ!!!」
無視されて怒ったユーリンがハルトの職業を冒険者に決定してしまった。ハルトはユーリンにブチギレそうだ。ていうかもうキレている。
「ハルトが優柔不断なのでこの大魔道士が導きを与えたのですよ」
ドヤ顔をしながらユーリンは堂々としているためハルトのブチギレになんとも思っていないようだ。
「ハ、ハルト様……冒険者も冒険者でいいところがあるので安心をしてください……」
「そうですよ。それに悩める子羊に救済を与えるのがわーの使命ですからね」
このクソガキ一回ぶん殴りてー
「お前、殴るぞ?」
「だ、ダメに決まってるじゃないですか!! なぜわーを殴ることになるのです!! 殴られるのはあなたですよ!!」
「やべぇ、意味わかんネェ!!」
結局ハルトの職業は冒険者となり、その他諸々の手続きもその日の間に終わらせてしまった。
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「なあ俺どこでねればいいと思う?」
日が暮れ始めるカラヅカの町でハルトはユーリンに尋ねる。
「そんなの知りませんよ。家、ないんですか?」
「そんなのないに決まってんだろ? てかお前はあんのか?」
「あるに決まってるじゃないですか」
「………」
じーっとハルトがユーリンを見つめる。
宿無しのハルト。家持ちのユーリン。ハルトの取る行動は一択のみ。
「な、なんですか……?」
「ユーリン、俺と一緒に暮らそうか……!!」
「お断りします。ではまた明日」
ハルトの頼みを無視してトコトコとユーリンは歩いて帰っていく。そんなユーリンに走って追いつき前に出てから、
「ちょちょちょちょちょ!!! ま、待てよ!! 俺らパーティーメンバー…つまりは仲間だろ!? 見捨ててもいいのか!?」
ハルトがそう言うとユーリンは手をグッドマークにしながら一言、
「頑張ってくださいね!!! では!!!」
「ば、馬鹿野郎!!! 俺を置いていかないでくれ!! 頼む!! 頼むから!!! ほらみろ!! 俺の得意技土下座だ!!」
道の真ん中で惨めにもハルトはユーリンに土下座をする。周りの人はそんなハルトを見て若干引いている。
こんな知らない世界で最初に外でホームレスなんて、死亡フラグじゃねぇか!! 人の目なんて気にしてられねぇ!!
「や、やめてください!! 私が変だと思われるじゃないですか!!」
「じゃあ連れてけ」
「それは……」
嫌がるユーリンにならば連れて行けと淡々と催促するハルト。
「お前、俺泣くぞ? 泣いていいのか?」
これは果たして脅しなのだろうか?
「ねぇママ昼の人が次は女の人に泣かされてるよ?」
「あれは元彼から金をむしり取ろうとしてるのよ。見ちゃダメ」
「ち、ちがいます!! ハルトもやめてください!! 来ていいですから!!」
その言葉に歓喜の声をあげるハルト、
「ウッヒョー女子の家なんて初めてだぜ!!」
「そう喜ばないでください気持ち悪いです」
まあそう言うなユーリン。別に変なことはしないぜ。
「変なことしてやろう!!」
「ハルト、心の声と口に出ている声が逆です。魔法ブッパしますよ?」
薄暗い街灯がつくファンタジーな街の中、2人はテクテクとユーリンの家へと近づいていった。
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「なあ、なんで俺たちこんな知らない人の家の家畜小屋でねてんだ?」
「そうですね。ハルトのせいです」
「ちげーだろ!! お前のせいだ」
「仕方ないですね。そう言うことにしておきましょう」
「なんかすげーイラつくんだけど!?」
俺たちがこうやって家畜小屋で寝ている理由は少し前に遡ればわかる。そう、あれは三時間前に遡るーー
行くはずの異世界間違えました ダメな天使と魔王討伐目指します @tentenakedo
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