第4話 自称☆大魔道士☆ ユーリン
「ではこれからよろしくなのです!!」
さっきまでギャン泣きしていたユーリンも気分を直し晴人の前の席でルンルンとリンゴジュースをストローでチュウチュウと飲んでいる。語尾が変わっているのは触れないであげよう。キャラ作りのお年頃なのだ。
「まぁパーティーはいいけど……お父さんとお母さんに止められないか?」
「わーのお母さんは……もう……」
ああ、これはまずいことを聞いてしまったと慌てて「元気出せよ……」と晴人はユーリンを励ます。が、ユーリンは残りのジュースをストローで飲み干した後に一言、
「何を言っているのですか? お母さんはもう村帰ってわーは自由になったからとっても元気ですよ?」
よし、こいつはもうパーティーから追い出そう。そうしよう。
そう決心しようとするが今かここで分かれたとしても損しか出ないと思いとどまる晴人。そんなに晴人にユーリンは尋ねる。
「そー言えば名前はなんて言うのですか?」
「あー俺の名前ね。ハルトって呼んでくれ」
「ハルトですか。平凡ですね。ではハルト、ステータスを見せてくれ」
「お前自分の名前笑われてキレたくせに俺のやつにそんなんいうんじゃねぇよ!!」
ユーリンの発言に怒りながらもグッと堪えるハルト。
ユーリンがおねだりするようにぱっと手のひらをハルトに向ける。
まあ子供だし多めに見よう……ていうか……
「ステータス?」
「なんだ、まだ持ってないのですか?」
ステータスとは、この世界の冒険者が皆必ず持っているカードのことである。そのカードには魔力、体力、知力、才力、運が乗っており総合的にその者の能力が可視化され、一番最初はその能力値に則ってランク分けされる。そしてステータスカードにはその者の職業、スキルなども載っており、スキル、職業は伝授されることによって解放される。
ちなみにランクはS、A、B、C、Dランクと分かれておりSの方からリンクが高いようになっており、クエスト参加によってランクは上げることができる。
「では今から作りに行きましょう。それが無いと冒険者生活は始まりません」
そう言ってユーリンとハルトは受付に向かって歩き始めた。
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「ステータス登録ですね。では後料金50リーチとさせていただきます」
「えっ、金いんの?」
この世界でのお金の単位はリーチで統一されている。この世界での1リーチは日本で言うところの10円ほどだ。
受付嬢のお姉さんがハルトにお金を催促するがお金を持っていないことに驚く。
「お金、持ってないのですか?」
ユーリンも驚きそうハルトに尋ねる。
「ああ。俺は無一文だ。ユーリン持ってないのか?」
ここでお金を持っているとしたらユーリンしかいない。ハルトはユーリンに希望を託す。
「いや、これはわーがコツコツと貯めたお小遣い……みすみすと使わせるわけには……」
「どうせ稼げるんだからいいだろ」
ヒョイッ
ハルトがユーリンの手に持つがま口を奪い取り受付の人へ渡す。
「あぁーー!!!! ひ、ひどいです!! わーのお小遣いが!!」
「パーティーメンバーだろ? また返すから貸しといてくれよ」
まるでなんともないかのようにユーリンのがま口からハルトはお金を抜き取る。
「クズ!! 悪魔!! ろくでなし!! ブサイク!!」
「おい最後のはやめろ? ガチで泣くぞ?」
ユーリンとハルトとの間で一悶着あったが結局ユーリンが払ってくれる事になった。
「もう!! 絶対返してくださいよ!!」
「じゃ、これでお願いします」
「か、かしこまりました……」
受付嬢は見てしまった。小さな子供からお金を奪い取る男を………
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「ではそこの水晶に手をかざしてください」
受付嬢に言われ、横に置いていた水晶にゆっくりと手をかざす。すると水晶が光だし、横に置かれていたカードに文字が浮かび上がってくる。
「もう手を離してもいいですよ」
ハルトは手を離し、受付嬢はカードを確認する。
「はい、以上です!! 頑張ってくださいね」
受付嬢からカードをもらい、その場で立ちながらハルトは内容を確認する。
「ハルト、どうだったのですか?」
作業が終わったのを見てユーリンのが近くの席から立ち上がりトコトコと駆け寄ってくる。
「ほれ、こんな感じだ」
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ハルト 職業 無し
魔力 50 体力 60 知力 70
才力 20 運 -50 ランク C
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「ランクCですか。まあまあですね。ていうか運マイナスって初めて見ましたよ」
「ああ、受付嬢も驚いてたぜ」
-50、という驚愕的な数字を見ながら2人は話す。
「ユーリンのも見せてくれよ」
ハルトのステータスを見終わった後、ハルトはユーリンのステータスを見せてもらおうとする。
「ふむ、見せてやろうではないか」
やけに自信満々に胸を張りながらユーリンは自分のステータスカードをハルトへ差し出す。
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ユーリン 職業 魔道士
魔力 100 体力 30 知力 50
才力 100 運 60 ランク A
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「お前ランクAなのか!?」
「ふっふっふ、少しは見直しましたか?」
ユーリンがドヤ顔をしながらハルトに語る。魔力、才力共に100とはなかなかの、というか凄すぎる数字だ。
「おー……縦にも胸にもいかなかった栄養がこっちに行ってたんだな……」
ハルトは憐れんだ目でユーリンをじっと見つめている。
「失礼です!! いい加減にしないと起こりますよ!?」
ユーリンは顔を赤らめながらまた怒る。
「わりーわりーって。じゃあ俺も職業なんかつきたいなー」
「それではギルドの初期職業のところに行きましょう!!」
そう言ってユーリンはまたトコトコと歩き始めた。
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