第16話 浜辺を後にして
「ちょっと待って待って」
あれから手を引かれること少し、浜辺からも大分離れたところで有紀ちゃんはその足を止めてくれた。
「どうしたの有紀ちゃん、急に」
「あ、ん、えと、ごめんなさい」
「うん、それはいいんだけど、もしかして気分悪くなった?春とはいってもまだまだ肌寒いからね」
「いえ、そうではないんですが…」
ほんとかなぁ。
手のひらを有紀ちゃんのおでこに当てて熱を確認。
「熱くは…、ないのかな?私これあんまり分かんないんだよね」
「ならしないでください」
そう言ってそっと私の手を払う有紀ちゃん。
「ああ、ごめんね。別に子ども扱いした訳じゃないからね」
「分かってます。心配してくれてることくらいは」
それでもなんだかいつもの有紀ちゃんらしくないことに心配になる。
「そだ有紀ちゃん。今日はせっかくのお出掛けなんだし色々見て回ろっか♪」
私まで一緒に暗くなってちゃダメだ。
有紀ちゃんがなんだか元気がないんなら、私が元気にしてあげなくちゃ。
「まだお昼だし、まずはご飯でも食べいこ」
「はい」
「なに食べたい?」
「なんでも「なんでもはダメー、何か言って」、それじゃあ…、オムライスが食べたいです」
「オッケー。駅の近くにオムライス屋さんあったと思うから、そんじゃそこ行こっか」
そう言って有紀ちゃんの手をとった。
忙しいけど、癒しがあればなんとかなる 田舎のたび猫 @tasukw
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