第三話

「ああ。朝か」

そんな呟きと共に体を起こす。今日は待ちに待ってない暗殺実行日。

ターゲットがダンジョンに入るのが入るのが9:00ちょうど。おそらく

出てくるのが夕方4時。誤差も計算して3:00に待機しておく。

武器は定番の楽器ケースに隠す。王道やね。午前中は武器の最終メンテをして

あとはダラける。その後狙撃地点へ移動し準備をして実行する。

そんなわけでだらけてゆく。


     ー12:50分ー

寮を出て出発。電車に揺られておよそ2時間。やっと着いた。

「ふぅ」

カバンを置き、相棒を取り出す。さてそろそろ構えておくか。

エナドリを一気飲みして集中する。

30分後そろそろ出てくるな。ゲートの色が変わった。ダンジョンは生き物が入り口

を通過すると赤色になる特性がある。

集中力を極限まで引き上げていく。

そろそろくるか残り10秒


「………5………4………3………2…………1………………fire…」

そんな呟きと共に漆黒の重い弾丸が発射される。

刹那、弾丸が標的の頭を爆散させた。


それを確認したあと影魔法の上位魔法影送りを

使い、寮の自室へ帰還する。pcを立ち上げ依頼サイトに接続。

『依頼は達成された。報酬をくれ』と入力。そうすると返信があった。

『了解。今TVで見たところだ。さすがだね、報酬の額ちゃんと振り込んでおいたよ。確認したまえ。』

スマホで口座を確認すると、ちゃんと振り込んであった。

『ありがとう』

そう入力し、pcを閉じた。暇だしTVをつけてみる。すると

さっき殺した探索者のニュースが大々的に報道されていた。特定されることは

絶対にない。弾丸は自分の魔力で作ったものであるため、2、3分後には消える。

また、影移動で帰還したため証拠が残らない。今回も完璧だ、我ながら。

「ああ、疲れた」

愚痴をこぼしてコンビニへいく。とろろ蕎麦を買って戻ってくる。道のりが異様に長く感じられた。暗殺は疲れる。そんな感じで食べて、眠りに着いた。

翌日の日曜もだらだら過ごして終わった。次の日学校へ行くといつもよりかなりうるさかった。耳を傾けていると自分が暗殺したAランク探索者に着いての話題だった。

(ああ、そういえばTVのカメラもあったな。ってことはTVの目の前弾けさせたのか頭を。)

「はよー。ねえねえTV見た?やばくね。目の前であの探索者が殺されたんだぞ!」

「あー見た見た。やばかったねー。」

急に喋りかけてきた鏑木に動揺しつつも適当に返し視線を本に戻す。

「なんか最近殺される探索者多くね。誰なんだろうね。」

「さ、さあ。殺し屋じゃない?」

「もしかしてお前殺し屋だったりする。」

「いや違うし。ないない。」

内心めっちゃドキドキした。

「だよね〜。あんまりボーっとしてるとコロされっちまうぜ。きいつけろよ。」

「その言葉ありがたく受け取っておくよ」

自分が殺られる側ではなく殺る側だと言えるはずもなかった。そうしていつも通り

の日常が過ぎて行くのだった。


〜1ヶ月後夏休み〜

8月1日俺は今初めてのダンジョンに来ている。浜松第二ダンジョンという場所だ。

浜松第二ダンジョン、そこは適正難易度ランクBであり国内有数の深階層ダンジョンである。モンスターはゴブリンや、スライムなどの低級モンスターからドラゴンなどの上級モンスターに至るまで幅広く分布している。

「さて行きますか。」

戯言を吐いてゲートを潜る。

ダンジョンの中は、洞窟のようになっていて何故か明るい。ちょうど良い明るさ。

ふむ、これがダンジョンか。思ったよりしょぼいな。そんなことを思いつつも、

狩りを始めていく最初は学校で使っているアイアンソードでゴブリン共の首を

スパスパ切っていく。その調子でサクサク進んでいくと今度はでかい扉bにたどり着いた。

「ああ、もう10層か。簡単じゃん。」

ダンジョンとは10階層おきにボス部屋と呼ばれる部屋があり。ボスキャラが待ち構えている。ちなみに深層ダンジョンとは推定階層300層のダンジョンである。他にも

50層の表層ダンジョンや200層の中層ダンジョンがある。また、完全攻略されたのは

50層の表層ダンジョンだけで中層、深層ダンジョンはいまだに攻略者がいない。

俺は初めてダンジョンに潜るが、正直表層だと1日で攻略できそうだから、あえて

深層ダンジョンを選んだ。所詮十層のボス。入った瞬間首をスパッとして終わりだった。なんか簡単そうだからヘッドホンをして音楽をかけ一気にペースを上げていく。


3時間後俺は50階層に到達していた。ボスはハイウルフ。ウルフの上位種で狼より3倍の大きさがある。まあ風魔法で頭を貫いて終わりだったが。ここで一つアクシデント。やばいというよりも面倒臭い。アクシデントの正体それは他の探索者との遭遇

だった。(うわぁ。よりにもよってなんで一本道にいるんだよ)そんな心の声を漏らしつつもこっそり通り抜けようとした時不意にも他の人のバッグに触れてしまった。

「え。だ、誰?」

「え?あ、ほんとだ誰かいる。」

「君名前は?」

(最悪だ。完全にひっかかった)

「こんなところで何してるの」

「子供がこんなところに来たら危ないよ。」

「も〜仕方ないな〜。連れていこ。」

「え〜。わっかた〜」

「全く。世話の焼ける人たちだこと」

ちょ待て待て待て待て。勝手に話を進めるんじゃない。でもな〜ワンチャンこの人たちに着いていった方が楽説も否めない。しゃあない着いていくか。そうや名前聞いておこう。

「名前、何?」

そう聞いてみた、が反応がない。あ、あれ。おかしいな。

「「「…しゃべった」」」

いやちょっと待て。俺喋らない人だと思われてたのちょっとショック。

「ああ、名前だったな。俺の名前は牧野 紺弥、一応Sランクの魔法剣士、『青龍の剣』ていうSランクパーティのリーダーだ。こいつは鈴音 凛、魔術師でAランク。

こっちは河原 琴音、治癒師。回復は全部任せていてAランク。そんな感じだ。そっちも自己紹介してくれ」

「峯、…ソロ活動主に風魔法を主体とした近接戦闘が得意。」

影魔法は言わないでおこう。いざというときのために。

「峯か、やろしく。」

「…ああ、よろしく頼むよ」

そう言って俺は紺弥の手を握り返した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

影の鴉 @5362

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ