卒業後、恋したキミはもういない。

「あのとき……僕が貴女に想いを伝えていなかったら──」

中学三年生──誰しもが受験という立場に追われ、恋愛という一つの現を忘れていた頃、僕こと《柳裕真》は「生徒会」の引き継ぎに追われていた。
副会長として残り一年を過ごす僕は、特別受験だの恋愛だのには固執していなかった。
ただ生徒会長である《水谷那由》への、密かな想いは抱いたまま──。

生徒会絡みで仲も良く、共に暇を持て余す暇人であり、互いに認めあっていたものの、特別な進展はしないまま、僕と彼女は卒業した。
……のだが、春休みのある日に水谷から「遊びに行かない？」とメッセージが届く。迷った挙句に受諾し、そして……隠し続けた想いを伝え、

そして彼女は──この世を去った。

彼女の死後、鬱になり、受かった高校にすら通う気が失せていた僕の前に…続きを読む