終結
局長、例の件聴きましたか、筆頭から……。
うん? あぁ、うん。聴いたよぉ。二人も一気にでしょ。時効にすりゃ良いのにねぇ……。
けれど、公正な賀留多文化を守っていくには、やはり二人のような存在は――。
違う違うよぉ。唯、二人の立場になって考えればって話。
はぁ……。ところで、この件は来年の《花ヶ岡新報》には載せますよね? 今後の抑止力に繋がると思うので。
うぅん……いやぁ、載せなくて良いかなぁ。
えぇっ!? でも――。
多分、その二人は今後問題を起こさないと思うし、金花会に出張って来るとも考えられないしぃ。それに……今、こんな件を大っぴらにしてみなよぉ? 「うえぇー」って皆思っちゃうよ?
そう……ですかね……。
新制度が始まったばかりだし、暗い話は隠した方が吉だよ。……そうだ、悪いんだけどさぁ、美味しいお菓子買って来てくれない? 花石は渡すから。
分かり――えっ、こんなに買ってくるんですか?
ちーがーう! いつものチョコ一箱でいいんだよ。余ったら好きなの買って、皆で食べなよ。
あっ、ありがとう御座います! 行って来ます!
一二月二六日。一〇時二五分。
その女子生徒は、会計部室のすぐ隣にある小さな教室――現在は《銀裁局》事務室と呼ばれる部屋の最奥に立っていた。窓を開け放ち、新鮮な冷気を室内一杯に取り込んだ。
「…………ふふ、ふふっ……」
彼女は笑い出した。数年前に起こった楽しい出来事を思い起こすように。
「はぁーあ……どうしてこうして……私の周りは――」
クルリと振り返り、自分の名札が置かれた事務机に着いた。机上の隅に鎮座する木彫りの小鳥を――彼女は指で軽く突き、呟いた。
「捜さなくちゃね……君の可愛い……」
お友達を。
BRING IT ON BIRDS 文子夕夏 @yu_ka
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