ステージの下と画面の向こうから描かれる人間ドラマ

北関東のご当地アイドルグループ『Lipp'inガールズ』。ローカル故に活動域の狭い彼女たちだが、その笑顔をライブ会場で、そして彼女たちが配信者として登場するライブ配信アプリ“グロウライブ”の向こう側で支えるファンがいた。

こちらは特定地域やアンダーグラウンドで活動するアイドル、そのファンたちを主人公とした群像劇です。

読んでまず感じるのはファンがアイドルを応援する意味と意義ですね。知らない人からしたら価値のない偶像に過ぎない女の子が彼らにとってファム・ファタルであるという事実、そのことが熱く、それでいて細やかに紐解かれていくのです。

応援のスタンスは各人違うわけですが、それらの違いが一点に集約し、女の子たちをアイドルとして成り立たせてみせる様がまたおもしろい!

また、著者さんの別の作品にも登場するグロウライブという舞台、本当によく作り込まれていて作品のリアリティをいや増しています。

スポットライトの裏側から魅せられるアイドル世界、ずいっとおすすめいたします!


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=高橋 剛)