第2話「シュレティンガーの蛇」2片
仕事に取り掛かる為、新人を連れて交通課から車を借り、乗り込んでそのまま道路を走らせる。
「キユー先輩、で私達は何から調査をし始めるんですか?」
運転し始めてからしばらくして助手席に乗った新人のフィロがそう話しかけてくる。
「検死に出した死体の結果が出たそうだ、俺達はまずはそっちから見に行く」
「検死ですか・・・」
「ああ、死体だ」
「うぇ・・・」
俺の隣の助手席であからさまに嫌な顔をする新人。
「死体を見るのは初めてか?」
「普通は死体になんか見慣れてませんよ」
「じゃ、今日からお前も普通とはおさらばだ、ようこそ、非日常の世界へ」
「嫌だなぁ・・・」
気分が悪くなったのか、新人は車の窓の外の景色を見る。
そこにあるのは、平和な町並み、スーツを着たサラリーマンが町を歩き、赤子を乗せた乳母車を押す婦人、休日なのかスポーツウェアを着て音感を聞きながら走るヤツ、まだ昼間で学校の授業があるはずなのにスマホを見ながら歩いていく学生。
いつも、どこかで見る、日常。
だが、今日の朝には平気で痴漢をする奴や、誰も入る事の出来ない独房で変死体が見つかり。そして、そんな死体を見に車を走らせる奴もいる。
いつも、どこかにある、非日常。
この新人もいつかはそんな日常に慣れてしまうのだろう。
俺としては、どうでもいいが、何か別の話題でも振るべきか・・・。
「まぁ、そんな憂いていても仕方ないだろ、ナメラとケイレブのペアは現場を見に行っているし、アーチーとウィズは鑑識に回された現場の証拠資料を見に行っている、残った俺らは・・・」
「あぁ!朝に会いました!ラミアの女性とコボルトの男性、それと・・・天狗?かハーピィ?かはわからない方と後、魔女の方ですよね!?HGPって本当に色々な種族の方が働いているんですね!」
「お・・・おぉ・・・」
さっきまでの、暗そうな顔から一変。急に明るい顔になった。
「凄いですよね!他の国じゃ、まずあり得ませんもの、多民族国家のヒボンならではの組織ですよ!」
ヒボンは様々な種族からなる多民族国家、もちろんその国の警察組織であるHGPも多くの種族が勤めている。
俺が所属する7課も人数こそ少ないが、今のところ、種族が被るという事は無い。
楽しそうに喋り始めた新人だが、次の言葉で思わず引っかかってしまった。
「本当にお父さんの言っていた通りです!」
「へぇ、親が?」
「はい、私のお父さんはHGPの刑事だったんです」
「・・・だった?」
「あ・・・えっと・・・」
あ〜、これは・・・
俺の配慮が無さすぎた、いや、刑事の仕事柄、どうしても気になった事は調べようとする癖があるのか・・・しかし、何故こうも簡単に地雷を踏み抜いてしまうのだろうか。
無言の車内。
犯人の事情聴取なら、意図も簡単に言葉は出てくるのに、どうしてすぐに言葉が出て来ないんだ、俺!
気まずい雰囲気が流れていく中で次の一手を考えていると、新人がゆっくりとだが話してくれた。
「お父さんは事件を追っている最中に殉職したと聞きました。その時は、本当に悲しかったです。あまり家にも帰らず、遊びにもほとんど連れてってもらえない。そんな親でしたけど・・・だけど、私のお父さんはもういないって・・・それが現実だって突き付けられた気分でしたから」
「・・・・」
「でも、お父さんは私の誇りなんです」
新人が俺の目を見てくる。
「マルコ警部からお父さんは優秀な刑事だったと聞きました。多くの事件を解決し、多くの人を助けた方だと。私はそんなお父さんの背中追いたくなって、刑事になったんです」
新人のその目は確かに決意ある目だった。
「そうか・・・悪い事聞いたな・・・」
「いいえ、私も死体ごときに怯えていたら、きっと、お父さんに笑われてしまいますから」
二へっと笑う新人。
そんな、新人に俺から言える事は、きっと心構え位なのだろう。
「HGPの優秀なお父さんか・・・なら、壁は高いぞ、お前が配属されたこの7課はプロフェッショナルだらけだ」
「え?そうなんですか?」
「HGP本部の7課、別名、対特殊魔術犯罪課」
「対特殊魔術犯罪課・・・」
「ここ最近になって、一般人には扱え無い筈だったランクの魔術を使用した犯罪が増える傾向が出始めた、その為、その道のプロ、近接格闘、射撃戦闘、情報処理、遠距離狙撃、HGPで様々な事が出来る人材を集めたチームってとこだ」
「ええ!?そんな場所だったんですか!?え?えぇ!?なんで新人の私がそんな課に!?」
「知らん、マルコ警部の頭の中なんてな・・・」
「は、はわゎ・・・」
新人はビックリしたように両手で頬っぺたを押さえ座席の上で器用に足を縮めて体育座りをしている。
さっきからコロコロ表情が変わる奴だ・・・
「おい」
「は、はい・・・」
「優秀だった、親父を越えるんだろ?」
「ッ・・・」
「じゃあ、シャキッとしろ、お前は親父と同じ刑事だろ」
「・・・・ハイ!」
不安と期待、そして確かな信念・・・、俺も新人の時は・・・こんな感じだったんだろうか・・・
気を取り直した新人がハッと何かに気づいたように聞いてくる。
「プロフェッショナルの集まりって事は・・・キユー先輩も何か特別な技術を持っているんですか?」
「・・・ヒミツだ」
「むぅ・・・直ぐには手の内を明かさない・・・なるほど、それが、プロってヤツですか」
新人は勝手に納得してくれたみたいだが、正直。何故、俺がこの課にいるかなんてわからん。
この7課そのものがつい先月、立ち上げられたばかりだ。ただ、確かに俺は他のヤツらにはないスキルを持ち合わせているが、それでも俺以上のヤツなんて他にもいた筈なんだが・・・
アイツとか・・・
「あ、後もう一つ。聞きたい事があるんですが・・・」
「なんだ?」
新人が立て続けに質問をしてくる。
「これから見に行く、検死の結果って、訓練学校では早くても1日かかるって聞きましたけど。まだ、半日も経ってませんよね?どうしてこんなにも早く結果が?」
「さっきも言ったがHGPには様々なヤツがいる、今回、検死を担当したヤツはHGPの中でもその道のプロだ、ソイツが一目見ればどんな死体でも死んだ時の状態がわかる」
「おぉ・・・消滅魔術で死体がなくなってもですか?」
「いや、死体が無いなら検死出来ないだろ」
「駄目か〜、死体が無いなら、気分も悪くならないのに・・・」
なんだそりゃ・・・
自分がこれから携わる仕事に文句を垂れる新人だが、心なしか、車に乗った時よりかは気分が晴れた顔になっていた。
ほんの少しは新人の心構えが変わったことを祈りつつ、俺はハンドルを握り直し車を走らせた。
「エヘへ・・・私も・・・プロの一員・・・」
窓ガラスに反射して新人のにやけた顔が見える。
間違えた事を教えたかもしれん。
あれから数十分程車の中で簡単な質疑応答を繰り返し、俺と新人の初めてのミーティングは終わり、ようやく仕事に取り掛かる。
綺麗な黄土色の建物に着き新人が車から降りる。
「ここは・・・?」
「警察病院だ」
質素でありながらどこか落ち着いた雰囲気がある病院。赤、青、緑、黄などで彩られた花壇が俺達を迎えてくれる。
俺も病院の駐車場に車を止めてから、新人と一緒に病院の中へと入っていく。
「キユー先輩、これから会う検死医の方ってどんな方ですか?」
新人が興味津々に聞いてくる。
「そうだな、検死医としての腕は一流だ。ヒボンで起きた難事件の数々はヤツが居なければ犯人逮捕に漕ぎ着けなかったと言われている。実際俺も何度かお世話になった」
「おぉ・・・、凄い方なんですね」
「まぁな、ただ一つ欠点があってな・・・」
「?」
話している内に受付にたどり着いた、為。すぐさま受付の看護師に要件を言い、病院内容に入らせてもらう。
「HGPのシラサワ様ですね、ただいま担当の医師をお呼びしますので少々お待ち下さい」
「いや、結構だ、自分から出向く」
「しかし、それでは・・・」
看護師が少し戸惑う。
まぁ、ルールなどもあるから、無理に言いたくは無いが・・・ここに、来られた方がもっと大変だからな。
「ラフ医師だ」
「・・・っえ」
看護師の顔が青ざめる。
「で、では。ラフ医師は霊安室でお待ちです。案内板にそってお進み下さい」
「そうか、ありがとう」
受付を済ませて、直ぐに霊安室に向かう。
地下へ続く階段を降りながら、新人が後ろから質問してくる。
「キユー先輩」
「なんだ?」
「さっきの会話ってどういう意味ですか?受付の方、あんなに血相かいて慌ててましたけど?」
「会えばわかるさ」
「えぇ・・・」
心配そうな顔の新人を後ろに霊安室の扉を開いて中へと進んで行く。
「ラフ!いるか?いや、いるよな!」
霊安室の何も聞こえないしんみりとした雰囲気を押し退けるように声をあげ、この部屋の主を探す。
すると―――。
「ン?、あァ、こノ声はキゆウ君か、待っテいタよ」
霊安室の奥からヌッと人影が現れる。
その人影は医師の白衣を着ているが、頭に髪は無く、目は剥き出しでギョロついている。口元はマスクをしているがそのマスクの端から見える口は耳まで裂けている、まさしく異形の姿だった。
そして、何より―――。
「臭っッしゃ!?」
新人が俺の後ろで派なを押さえながら悲鳴をあげる。
「えェ!?嘘っ!そンな二匂う?」
「ふ、腐乱臭!!」
そう、臭いだ、強烈な臭い。腐ったチーズか腐った生ゴミのような臭い。
「今日は消臭剤焚いテいタんダけドな」
「ち、近ぐかないで、くりゃはい!!」
「そンな、中年おジさンの加齢臭みタい二言わナくテも・・・」
新人にそう言われ落胆する、医師。
まぁ、これが、受付で呼び出さなかった理由だ、ラフが地上に出て来ただけでバイオテロが発生する。病院スタッフや、患者はもれなく、地域住民まで場合によっては被害を被るだろう。
「キニュー先輩!?誰ですか?キョの方は!?」
「ラフ・・・自己紹介を頼む」
着ている白衣を整え、佇まいを直す、医師。
「僕の名前は、ラフ・トゥアンムデ。アンデット種、
「にゃ、7課に新しく配属されました刑事のフィロ・S・ハワードでしゅ」
「よロしク、フィロ君。ゴム手袋越しデ失礼、こレしナいト嫌わレるンだヨね」
「よ、よろしくお願いしましゅ」
片手で鼻を摘まみながら、もう片方の手で握手をする両者。
新人がラフの手を掴むとブニュとした音が聞こえそうな握手に、新人が鳥肌を立てた。
「ふぃ!?―――」
「じャ、今死体を連れテくルかラ待っテてネ」
ラフはそのまま再び奥へと姿を消す。
「ぐ、屍食鬼が検死医やっているんですか?」
鼻から手を離した、新人から疑問が投げ掛けられる。
「まぁ、普通は駄目だよな、屍食鬼だし、実際に屍食鬼が死体を食べて事件になることもあるしな」
「じゃ、じゃあなんで・・・?」
過去の時代、屍食鬼はゴブリンや、ハーピィなどの魔物と同じく害獣としての扱いを受けていたが。今日に置いてそういった害獣としての立場は払拭され、社会的立場が与えるようになって行った。
それも、先人達の努力の賜物と言えよう。少しでも社会的構成を作る文化をもつ種族であるなら、対話の余地があるとの勇者の教えに乗っ取り、先人達は魔物に学びと言う教育を施した。
結果、勇者の言う通り、一部の魔物はより高度な文化を持ち始め、言葉を使うようになり、人間やエルフ、ドワーフ等と同じように意思疎通が可能になっていった訳だ。
嘘か誠かは知らん。
ラフ以外の他の屍食鬼はラフほどの臭いは発しないが、それでも臭いはキツい、今も地域や自治体によっては受け入れを拒否しているが、それでも死体を食うという専門性に長けた分野を持つ屍食鬼はこのような場所で大きく重宝されているのが今の時代のヒボンだ。
「まぁ、ラフは屍食鬼だが、腕は確かだ。それに、屍食鬼は国から支給される死肉がある。それ以外の死肉を食べたら法律で罰っせられるし、なんの為の死体提供意識表示カードになるんだって話だろ?」
恐らく、新人は屍食鬼であるラフが死体が沢山ある、霊安室で死体を食べてるんじゃないかと疑っているんだと思うが、ラフはHGPに勤めて俺以上に長い、その間に俺にバレ無くても他のヤツが気づく筈だ。
そう、思い新人の方を見ると、新人が震えた手で臨床台に指を指していた。
「じゃ・・・じゃあ。あの臨床台の上に置いてある、ナイフとフォークはなんですか・・・?」
そう言われ、臨床台を見ると確かにナイフとフォークが綺麗に置かれていた。
「あれは・・・あれだ、ラフが使う医療器具だろ、ナイフに見えるのはメスだ」
そうだ、医療ドラマとかでもよく見るヤツなはずだ。
「じゃ、じゃあ!、あっちの台にはなんで七輪が?」
今度は別の台を指した新人、確かに七輪が置いてある。
「あれは・・・あれだ。熱消毒で使うんだろ」
いや?煮沸消毒だっけ?
「じゃあ!なんでその七輪の横に焼き肉のタレが置いてあるんですか!?後!律儀にネギとか!白ゴマとか!ちょっと高そうな塩とか!ワサビまで置いてありますし!?」
「・・・・」
「キユー先輩ぃぃ!?」
多分、焼き肉を食べたんだろうな、なんの肉かは知らんけど。
そんな、今の時代の屍食鬼の生態を二人で話していたらラフが台車に乗せた死体を持ってきた。
「いヤ〜、お待たセ、二人共。でハ早速ご対面〜」
そう言って、ラフは死体に被せてあったシートを取る。
その台に乗っていた死体は紛れもなく、マルコ警部から見せられた写真の男だった。
「アースィー・イスマーイール。31歳。蛇人の平均身長かラしテはヤや低い。腕にはランイ国の宗教過激派組織の刺青が施されている」
腕に彫られているランイ国の宗教過激派組織の刺青には確かに目を引くが、それ以上に驚いたのは・・・。
「胸に穴が空いてる?」
「うッ・・・」
新人がその光景にを見て口を手で押さえる。
「うン、僕もコの死体が運び込まレた時は驚いタよ、胸にポッカリ穴が空いテるナんテ。そレに、調べタらモう一つおカしナ事を発見しタ」
ニコニコとラフが笑う。
「勿体ぶってないでとっと教えろ」
「そウだネ、ズバリ言おウ。こノ、死体にハ胃が無い」
ラフが指を指した先、空洞となった胸の中には確かに肺の下にあるはずの胃が無かった。
「なに?」
「蛇人の肉は淡白な食感だ鳥に近いような感じ」
「いや、それは聞いてない」
「ウぷッ!・・・」
新人が吐きそうな一歩出前で踏みとどまる。
それを後で確認しながら、ラフが再び説明を開始する。
「傷口と、肋骨の曲がリ具合かラ見て、体の外側かラ異常な圧力を掛けラれテ、物体は侵入しタ筈だ。いワゆル、寄生虫等の内臓を喰ラい内側かラ外に出たンじャなイっテ事」
「何が言いたい?」
ラフが満面の笑みを浮かべて言い放つ。
「まァ、よウすルに。死体の欠損具合かラ見て。胸にドスンッと手を突っ込まレて、そノまマ、胃を摘出さレたのさ」
「はぁ?」
「蛇人の肉汁は、ジューシーでハなく、とテも水々しイ」
「いや、それは聞いてない」
「ッ―――!?」
新人が口元を押さえながら霊安室を走って出ていく。
それを、振り返って確認してから、再びラフに問いただす。
人材の口元から落ちていくキラキラした物はきっと気のせいだろう。
「手を突っ込んだって言うなら犯人の指紋とかは?」
「残念だケど、アースィー・イスマーイール以外のDNAは検出さレ無かッた。犯人は恐らク、かナりノやリ手だ、傷口が綺麗なンだ」
「じゃあ、変死体って事以外は特に情報は無しか・・・」
来てみて損をした気分だ。
死体からはこれ以上何も情報を得られないと考え霊安室の出口に向かう。
新人も状態も一様気にはなるしな。
「あァ、後も一つ、分かッた事があアるヨ」
「なんだぁ?蛇人の肉の説明ならいらねぇぞ」
「胃が無いト見たカら、食道を調べテ見たンだ」
「は?」
「犯人は胃に用事がアるト見てネ、胃に入る前にハ食道を通るだロ?」
ラフは今までとは違い検死医としての顔をしていた。
「食道かラね、酸化アルミニウムと微量の金属イオン、そして魔力が検出さレた。つまり―――」
やはり、屍食鬼のラフ検死医は。
「彼は魔宝石を飲み込んだのさ」
腕の立つヤツだった。
病院の外へ出ると彩られた花壇の前で、新人が膝を着いていた。
病院内のトイレが見つからなかったのか花壇にキラキラした物が広がっている。その為、花壇が更なる彩りを・・・いや、見ないでおこう。
「気分はどうだ?」
「ざ、最悪です・・・」
「悪いが、ポケットティッシュなんてものは持ち合わせていないぞ」
「じ、自分のがあるんで、大丈夫です」
新人はゼェ、ゼェと息を整え、落ち着いた所でティッシュで口を拭った。
「そ、それで・・・私が、出ていった後に何か収穫とかありましたか?」
「ああ、犯人が何を欲しがってアースィー・イスマーイールを殺したかは分かった」
「ま、まず。一歩全身ですか・・・」
「まぁな」
膝に手を置き疲労している新人を横目にスマホで時間を確認する。
時刻は12時30分を過ぎる頃だった。
「よし、休憩がてら、昼飯にしよう」
「あ、ありがたいですけど。今、食欲、ありません」
「何事も慣れだ慣れ。それに、腹に何か突っ込まないと、犯人に太刀打ちできねぇぞ?」
「は、はひぃ〜」
新人のだらしない返事を聞きつつ車に乗ろうとすると、先ほど時間を確認したスマホから着信音がなった為、そのまま電話に出る。
「もしもし?」
「あぁ、キユウか?そっちはどうだ?死体から何か見つかったか?」
電話の主は低い唸り声のような音質で言葉を発する。
「あぁ、ボチボチな、そっちはどうだケイレブ?ナメラと二人で現場で何か見つけたか?」
「いや・・・ナメラの奴が囚人に絡まれて返り討ちにしてボコボコにしたら途中で追い出された」
「・・・・」
「・・・・悪りぃ。だが、重要な事は聞けたから、多分大丈夫だ、多分・・・」
電話越しに女性の抗議の声が聞こえるが恐らくはナメラだろう。
「キユウ、とりあえず、マルコ警部に報告と同時に情報の整理といこうぜ」
「わかった、昼飯は?」
「まだだ」
「よし、じゃあ。近くのファーストフード店に集合だ」
「了解」
電話を切り、新人に向き直る。
「誰からですか?」
「・・・仕事仲間からだ」
「おぉ!これから7課のチームとして動いていくんですね!」
「情報の整理だがな」
「こうやって一歩一歩凶悪犯を追い詰めていくんですね!なんだがとっても刑事ドラマっぽいです!」
先ほどのグロッキーから一転、新人は少し調子が戻ってきたようだった。
二人して車に乗り込み、そのまま道路へ車を走らせる。
次に目指すは仕事仲間のいるファーストフード店。
ヴァリアントジーン 右左右 右左 @gyokuro
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