14作

死にたかった。

ただ死ぬことはできないだろう。

明日を思うととにかくくるぢいくるぢい

いがいたくなて体は硬直して、ただナメクジのように布団の中へこもってばかりである。

逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい

ここから逃げるために人は歌に乗り込む。

歌詞と音で出来た線路に沿って、ここから遠く離れた星へと飛び立っていく

俺も乗り込んだ。後ろから歌詞を口ずさんで追っていった。

けどそれは思い違いだった。歌はどこへも連れて行ってくれない。

いずれここへ戻ってくる。

線路の先の終着駅は俺自身だった。つまりただ一周しただけなのだ。

どこへも行くことが出来ずに


逃げることは許されないと俺は言う

責任から逃げるなと俺は言う

この状況はお前の自業自得だと俺は言う

甘えたやつだと俺は言う

俺が俺を否定する。否定してやまない。

俺の否定が俺の中で反芻する。


そうして、ああ、ああ、苦しい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

短編集 戦士 @kosodoroyaziuma

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ