最終話 最強ゲーマーの優雅な結婚生活!
────
それを聞いた真紀ちゃんは「おお! いいじゃん、結婚式!」と思ったよりも好反応を見せてくれて。すぐに建設させようと、どこかに電話をかけたんだ。そして「チャペルかガーデンどっちがいい?」と聞かれたので、俺はガーデンと答えたんだ。
まぁ直感で決めたけど、やっぱ結婚式って外でやった方が面白そうじゃない?
……で、そんなこんなで今日は終わって。それからは変わらぬ日常が続いていったんだ。その間、何やら島の南の方で工事が行われていたようで。『あれって神谷が結婚式場を造らせてるらしいよ』という噂は、何故かかなり広まっていたらしく……それを聞いた俺の彼女らが、色々と俺に問い詰めてきたんだ。
まぁ隠すつもりなんかなかったので、俺は「大会優勝の願い事で造ってもらった」こと。そして「俺はそこで君達と結婚式を挙げたい」と、プロポーズっぽいセリフを伝えたんだ。
それを聞いた彼女らは、誰一人として断る人はいなくて。本気で喜んでくれたんだ。真白ちゃんに至っては、号泣してずっと俺を離さなかったもん…………えっ? 何? 十八歳以上じゃないと結婚できない? 複数人で結婚式挙げるのはおかしいって?
うるせ~~~~~~~~~!!!! 法だのモラルだのそんなの知ったことかい!!! 俺はやりたいようにやるんだよ!! 本当に好きな人が複数人いるから、俺はみんなと結婚式を挙げたいんだよ!!! こんな自由な島なんだから、それくらいしたっていいだろ!?
……ってな訳で。結婚式当日まで、時を進めて行くよ。
────
そして半年ほど時は流れた。式場が完成する頃には、俺らはもう二年生になっていて……クランも余裕でトップを張れるほどに成長したけれど。
「……わぁっー!! みんな本当に可愛いよ!! 最っっっ高に似合ってるよ! 天使と見間違えたもん!! ねぇ、写真撮ってもいい!?」
別に俺らの中身は全く変わっていなくて。俺は式場の目の前にいる、ウエディングドレス姿の彼女達に興奮してたんだ。
「はしゃぎすぎだよ、修一。後で写真は撮れるから、落ち着きなってばー?」
「そういうことじゃないんだよっ! 朱里ちゃんのウエディング姿なんて、全オタクが渇望しているコスチュームだろうに! これを焼き付けておかねば……!! フィルムに残すのはもう義務なんだよ!!」
「あはは、そうかなー。でも、修一以外に見せるつもりないけどねー?」
朱里ちゃんは小悪魔チックに笑って言ってみせた。ほんっとに……たまらんね!!
「まぁー神ちゃんに、はしゃぐなって言う方が無理があるんじゃない? だってウエディングドレスを着た、こーんなに可愛い彼女に囲まれてるんだもんねー? ほれほれー? 触ってもいいぞー?」
花音ちゃんはそう言ってドレスを掴んで、挑発的にフリフリさせた。当然俺は「うわーい!!」と、そのフリフリに当たりに行って、満面の笑みで幸せな時間を過ごしていると……。
「おい!! 何やってんだシュウイチ! ぼっ、ボクのもちゃんと見ろぉ!!」
と透子ちゃんが俺を引っ張って、正面に自分を立たせたんだ。自分から見ろと言った割には、とっても恥ずかしそうな表情してるけれど……まぁそこがたまらんよね。俺は頷きながら、透子ちゃんを誉めていったんだ。
「うんうん。透子ちゃんもよく似合ってるよ……流石は俺のマイプリンセスだよ! ビューティフォー! エレガント!! ぶ、ブリリアント!!」
「横文字使えば喜ぶと思ってんだろ!!!!」
「フガッ!!」
そしたら普通にぶん殴られた……一体どうしろって言うんだっ……!? ……そんなよろけた俺を、藤野ちゃんは受け止めてくれて。
「ふふっ! ねぇ神谷君! 私、こんなにも素敵な服着られて本当に幸せだよ! ありがとねっ!」
「いやいや、お礼を言うのはこっちの方だよ! 俺を選んでくれて本当にありがとう、藤野ちゃん……いや、神谷ちゃんかな?」
「えっ、ちょ、ちょっと!? その呼び方は気が早すぎるよぉ……!?」
聞いた藤野ちゃんは目をグルグルとさせて、顔を真っ赤に変えたんだ。ああ、なんて可愛い生き物なんだ。一生見てられるよ……そして。真白ちゃんが俺の傍までやって来てくれて。
「王子様……いいえ。修一さん。私はずっと貴方を物語の王子様に重ねてましたけれど……それも今日で終わりにしますよ」
「えっ? どうして?」
「だって……私は貴方が王子様に似てるからなんかじゃなくて。絶望に浸っていた私を救ってくれたから。光のある素敵な世界に連れ出してくれたから……そんな優しくて、かっこよくて、頼れる貴方だから、こんなにも好きになったんですもの!」
「うん、そっか! 別に王子様呼びも悪くは無かったけど……これから名前で呼んでもらえるのは嬉しいな。本当に大好きだよ、真白ちゃん!」
聞いた真白ちゃんは目を見開いて。
「ッ……! わっ、私も、私も大好きですよ!! 愛してますよ!! 幸せ過ぎてもう、胸がいっぱいで、ドキドキが止まらなくて、心臓が爆発しちゃいそうで……!!」
「ああっ、泣かないで! まだその涙は式まで取っておこう!!」
「あー神ちゃん泣かせた―」「うわー修一ひどーい」「サイテーなヤツだ」
「だから何だその茶番はー!!」
と、ここで後ろから足音が聞こえてきて。
「はぁ、全く……こんな日でもお前らは変わんねぇのか?」
声に振り返るとそこには、スーツ姿の蓮と私服姿のソフィーちゃんが立っていたんだ。俺は驚きながら、彼らに話しかけたんだ。
「あっ、蓮!! もう松葉杖無しでも大丈夫なのか!?」
「当たり前だ。余裕で歩き回れるぞ」
もう心配するなと言いたげに、蓮は足をぶらぶらさせる。それを見たソフィーちゃんは、少しニヤニヤとしながら。
「ま、五十嵐は神谷の結婚式に絶対間に合うようにって、ずっとリハビリ頑張ってたもんね?」
「田中……お前、そういうこと言うなって忠告してたはずだが?」
「あれ、そうだったっけ? ちょっと記憶があやふやでさー?」
「チッ……ああ、もう帰りたくなった」
蓮は顔を下げて、気分が悪そうな顔をする……なんか違うクランの二人が、こんなにも仲良くなっているなんて、ちょっと嬉しいな。
「ははっ! まぁ、二人とも来てくれて本当にありがとね!」
「別にいいよ。まぁ、他にも来るらしいけど……お。噂をすればだね」
そしてそのタイミングで、ポイントを渡してくれた各クランのリーダー達や織田っち先輩などの友達。学園長の真紀ちゃんの姿も見えてきたんだ。俺はここから手を振って、みんなにお礼の言葉を叫んだ……そんな俺を見た蓮は。
「ところで神谷。お前ら準備とかしなくていいのか? もうそろそろ始まるだろ?」
「ん、ああーそれがね。ウエディングドレスとかメイクとかケーキとか用意してさ、ポイントがマジで枯渇してね。色々と自分達だけで行わなきゃいけなくなったんだ。いわゆるセルフサービスってやつだね」
そう。ウエディングドレスも五着分用意する必要があったため、本当にポイントがすっからかんになったんだよ。だから一般的な結婚式にいるスタッフとかは、全然雇えなかったんだよね……そしてそれを聞いた蓮は、かなり焦ったように。
「いや、そんなの聞いたことねぇよ!? じゃあ牧師とか司会は……」
「当然いないよ!」
「はぁ!? じゃあ式はどうすんだお前!?」
「まぁその辺は上手いことどうにか……」
「なるかぁ! ああ、クソっ、もう……僕が全部やってやるよ!!」
「え、本当に? ありがとう蓮!」
それはとても助かるよ! ……まぁ。蓮がそうやって言ってくれるんじゃないかって、考えていなかった訳でもないんだけどね。でも、自分からそう言ってくれたのは、本当に嬉しいよ……そして藤野ちゃんが、ひょっこり俺の傍までやって来て。
「神谷君! そろそろ式を始めないと、時間が間に合わないんだって!」
「あ、そっか。そういやこの場所も借りれる時間、決まってたんだっけ……」
「うん、だから早く準備しよっ!」
────
それから数十分後。俺らは結婚式……と呼ぶにはあまりに雑で。変で。グダグダで。でもその分、絶対に他では味わえないような、特別な時間が始まったんだ。
「それでは新郎、新婦×5の入場です」
蓮の言葉に笑いが起き、そして俺らは一列になって入場していったんだ。これは誰が俺の隣に立って腕組んで入場するか争いになりそうだったので、こんな形になったんだけど……でもRPGっぽくて、この方が俺らに合ってるよね?
そして……どう頑張っても牧師に見えない蓮の前に立って、俺と彼女らは向き合った。それで蓮は脳を必死に働かせて、次の言葉を探していたんだ。
「あー……えー。新郎、神谷修一。貴方はここにいる新婦の全員を。いかなる時も愛せると誓えますか」
「誓います!!!!」
「うっさ……えー。新婦、藤野結奈。明智透子。葉山朱里。汐月真白。鳥咲花音。貴方らはこのどうしようもない新郎の神谷を愛せると誓えますか」
「「「「「はい、誓います!」」」」」
「……すごいねー」
おい牧師。本音出てるってば。
「えー次は……誓いのキスか。それじゃあお願いしまーす」
何だその軽いノリ……と思っていたのも、つかの間。一斉に彼女らは、俺の元へと近づいて来て……誰よりも先に俺の唇を奪おうと、顔を近づけてきたんだ。
「えっ、ちょ、ちょっと!!? みんな!? 落ち着いて!??」
「逃がさないよ、神谷君!」「こっち向け!!シュウイチ!!」「ふふー。私が先だよー?」「愛してます!! 修一さんっ!!」「神ちゃん! ウチにキスの味を教えるんだにゃー!!」
そしてしまいには、全員で俺を床に押し倒すのだった。
「…………わっ、うわぁああああっーーーー!!!!」
多分、この世で一番幸せな俺の悲鳴は、どこまでも聞こえるくらい。天高く響いたのだった。
────────
完結です!! ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました!!!!
最後に、好きな登場人物をコメントで書いていただけると助かります! 今後の執筆の参考にしますので!
最強ゲーマーの優雅なハーレム学園生活〜ゲームで全てが決まる学園に入った俺、無双しまくって美少女達にモテまくりです!?〜 道野クローバー @chinorudayo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます