第6話

とりあえず使っていいという部屋へ。

広い!シャワーやトイレも完備。

家具も揃ってる。

外には…庭?

出てみるとそこは中庭になっている。

すごい家!

混乱しつつもテンションが上がる。


持ってきた荷物を片付けて、日用品を買いに行かなきゃ。


荷物もなんとか片付いたし、水でも飲もうかな…キッチンにも行ってみよう。

え…ビックリ。リビングまではホテルのようなのに、キッチンは使われたままの食器やらゴミやらで大変なことになっている!


「男2人暮らしだもんなぁ…」

現実に引き戻される。

「片付けるか…」

私は家政婦か!なんて思いながらも、一教師の私が。このすごい部屋に住まわせてもらうという後ろめたさから、やらざるを得なかった。


掃除に没頭し、気づけば外は夕暮れ。

「あー…疲れた」

ついつい独り言が出てしまう。

コンビニでカップ麺でも買ってこよう。


家からしばらく歩くとコンビニがあった。

近くにはトッポッキ屋さんも。

その前にはいくつかベンチとテーブルがある。韓国らしい風景。


カップ麺を手に店から出て、店先にあるベンチに座ろうとした時、背後に人の気配が…


「저기요(あのー…)」

私の財布を差し出してる。

落としてたんだ!

「고맙습니다 (ありがとうございます)」


ふと、その人の方を見る。

どこかで見たことあるような…

ジャージにサンダル、サングラス。あり得ない寝癖。手にはバナナ牛乳。


「あ!あの救世主!!」

その人は、到着早々スリにあった私を助けてくれた人。

つい、大声を出してしまった私に驚く彼。


「오늘 네 가방을 …(今日私の鞄を…)」


サングラスをずらしてチラッと私を確認し、あぁ!と気づいて微笑む。


「괜찮았어요?다시 지갑을 일어버렸구나…(大丈夫だった?また財布を落としたんだな…)」

「네…(はい…)」

「조심해야지(気をつけなきゃ)」

「네…」

あぁ、はいとしか言えない。

恥ずかしすぎる!


ニコニコしながら、手を振ってまたも颯爽と去っていく。


こんな偶然ってあるんだなーと思いながら、伸び切ったカップ麺をすする。


家に戻ったが、まだ誰もいない。


あぁ…初日が終わる。

なんて情報量の多い一日だったのだろう。

ベッドに横になった途端寝てしまった。






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