読みにくくて読みやすい。人が人を好きになるというリアル。

 作者さんが自己申告してますとおり、お世辞にも読みやすい物語とはいえません。登場人物も多いし、人間関係が非常に複雑で視点も頻繁に変わる。読みながら全体像を把握しようとすると途中で挫折するかもしれません。が、文章自体はとても読みやすいので、1話1話の『今』を味わう気持ちで読んでいけば、ほうっておいても自然とこの物語の世界が見えてきます。

 むくわれる恋も、むくわれない愛も。
 この世に無傷でできる恋愛はありません。
 男とか女とか異性とか同性とか、そういう括りを吹き飛ばして、あるいはすべてを内包して描かれる、人が人を好きになるというリアル。
 切なさと、不思議なあたたかさが心に残る物語。
 BLに抵抗のない方はぜひ読んでみてください。