勉強

バブみ道日丿宮組

お題:孤独な挫折 制限時間:15分

勉強

 いつだって試験は一人きりの戦い。

 だけど、勉強しろと言われると途端にやる気がなくなるのもまた真理。

 僕はやったらやったぶんだけ成長できるという自覚はある。それでも予習復習をしっかりしなきゃ今の学校についていけない。

 進学校という邪なベクトルに支配された人間たちが通う場所。そんななかでは友だちを作るのほぼ不可能。誰もがきりきりと嫌な視線を向けてくる。

『次の相手はお前だ』と。

 見えないところの牽制はいじめという形で現れた。誰がやったかという犯人探しを教師も生徒もしない。お互いが仲間という意識がないためだ。

 たとえ話をするならば、Aという人間をBが攻撃する。AはBに反撃することもなくCを攻撃する。つまりはいじめという一つの項目が生徒全体に連鎖してく。

 こうして誰もがいじめられっ子であり、いじめっこになる。

 気分的なものを話せば、僕はいい気分にならない。

 期末テストで上位に食い込めば生徒から否応なしに視線を向けられ、逆に下位に落ちてしまうと教師の不純の視線を浴びることになる。

 個別指導としてとある部屋に連れてかれる話をよく耳にする。

 いじめか、教師による圧か。

 選択肢はそこだけになる。

 けれど、多数の生徒がいる状況でその両極端に陥ることは実のところ少ない。苦手意識という人間の層を隠すことは出来ない。

 いじめとして参考書やら、問題集をカバンに入れられるのは心にくる。

 嫌がらせなのだろうけど、勉強道具を無料で寄付してくるのはしたくない試験勉強をしろと命令してくるようで手に取るのも億劫になる。

 おまけに学校内に提出先として、終わった問題集を入れるポストがある。ここで名前を記録され、学内の掲示板に誰がなんの問題集を終えたのか貼られる。

 そうしていじめっこは喜びの境地に酔う。

 苦戦して勉強したんだろうな、と。

「……」

 ただ僕は普通にやりたい。

 同じ問題集をわざわざ10冊も入れないでほしい。

 3冊目まではおそらく問題を完全に覚えてないからまだ脳に負担がかからないが、5冊を超えた頃にはもう脳に答えが刷り込みはじめる。

 誰かに手伝ってもらえば早く終わるかもしれないけれど、筆跡でわかってしまう。

 だから、だから……この学校では一人で終えるしかない。

 

 たとえ勉強の先に無が訪れようと生徒も、教師も変わることはない。


 永遠の学。それだけを心に抱き続ける。

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