変化の風

バブみ道日丿宮組

お題:俺と風 制限時間:15分

変化の風

 形あるものは崩れ落ち、新しいものとなる。

 世界はそんな感じに進んでる。

 かつてわたしだったものが俺になる、そう成長期は性別さえ今の時代変えてしまう。

「はぁ……」

 ただ女の子にしたかった両親は家に男の子ものの服を用意してない。

 中学生で女装してるのは他にもいるけれど、やっぱり性別があってないのでなんともいい難い状態だ。

 次の成長期がくればまた男の子に戻る可能性もあるからこれでいいのかもしれない。また新しい制服を購入してまた変化してしまえばとてもめんどくさい。

 窓の外のしんしんと降る雪はどことなく俺の気持ちに近い気がする。慌てたいようで暴れないーーそんな微妙な状態。

「ため息最近多いね?」

「そうかな?」

 声に振り返れば、幼馴染がいつの間にか登校してきてた。

「気持ちはわからなくもないけどね。たださーー」

 幼馴染は机に腰掛けると、

「性別が同じだったら付き合えないものね、わたしたち」

「それは違うんじゃないかな? 同性愛だって存在してるよ」

 そのための性別変化だと保健の教科書には書いてあった。少なくなった人間を増やす方法、それは仲がよい人と人を繋げるために形そのものを変えるということ。いったいこれがいつから始まったのかについては詳しくわかってない。ただ当時は奇病として偏見の目を向けられてたらしい。

 にこっと幼馴染は笑う。

「じゃぁわたしたちもいけるかもね。お互い大好きだもの」

「俺の気持ちは聞かないの?」

「答えてくれないでしょ? あんだけ触ったくせに今更責任とらないなんて言わないでしょ」

 ふふんと彼女は自慢げに右手親指を立てる。

「まっ私も悪い気分はしなかったけどさ」

 俺以上に男性の制服が似合う女の子だ。魅力がないわけじゃない。むしろ同性のときだって羨ましく思ったものだ

「ならいいんじゃないか。減るものじゃないだろ。いつまた変わるかもしれないんだ。今のお前を見るには今しかない」

「はいはい、そういうことにしておきますよ。逆になったら覚えておきなさいよ」

「あぁ」

 逆か……想像したくないな。ありえない話じゃないのが……な。

「ともあれ、もうすぐホームルームだ」

 うんと飛び切りの笑顔を見せる彼女はやっぱり可愛いなと再認識させられるのであった。

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変化の風 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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