はなとはな

お題：イギリス式の花 制限時間：15分

はなとはな

　美化委員会が学園の手腕を握るのはおそらくイギリス仕様にした学園のデザインによるもの。

　文化祭でいったことのある妹の学校はドラマや、アニメなどに出てくるよくあるもので、私が通ってるのは花園という中庭がありバラ園というものが学園にある。しかも教室にいても花の匂いが窓から入ってくるほどの量。花の香がある学校生活、いや包まれた世界かもしれない。

　匂いに慣れてない人間であれば鼻を潰される可能性もあるけれど、文化祭で他校生がやってきたときはそんな様子を見せることはなかった。そのかわり高揚感に包まれて、なにやら不思議なテンションの人が多かった。フラフラと歩いて、同じ喫茶店に出たり入ったりを繰り返してた。

　どの教室にも看板娘はいたのでそういう気があるリピーターだったのかもしれないが直接聞いたわけじゃないので実際のところはわからない。

　もっとも人が多かったのは花園で、たくさんの人が猫のように寝転がって丸まってた。その様子はまるでマタタビで酔ったような感じでとても不思議。妹の友だちもそのうちの1人で私に対処を求めてきたけど、保健委員にまかせてしまった。

　保健委員は頼まれると何やら注射器を取り出して倒れてる人に施してた。そのおかげもあって、数分後には立ち上がるようになってた。なぜか目の下にクマができて、口端をあげてたけれど。

　解放のおかげもあってか、文化祭に参加してた過半数がこの学校に転校してきた。学力的には平凡クラスであるから試験はそれほど難しくない。

　教室もかかなり余っていて特に問題ない。

　あるとすれば、妹の愚痴ぐらい。友だちがみんなそっちにいった、と。

　仕方ないので妹もこちらに引っ越してはきたけれど、友だちの様子が前の学校と違うと嘆いてた。そこらへんは環境の違いでおそらく変わってしまったのだろうけど、妹は変わる様子はなかった。

　もしかすると、学校でもらった花の匂いが妹にはいい作用として働いてたのかもしれない。もしそうなら、もう少し花園から花をもらえるよう頼んでみるのもいいかもしれない。