番外編:リアム様との生活もそれなりに快適です~シャーロット視点~

※シャーロットもかなり病んでおります。



王宮での生活が始まって、半年が過ぎた。エミリー様の事件以来、とにかくリアム様は私を物凄く心配してくれていて、ずっと側にいてくれる。




でも、なぜかリアム様がいる時以外、部屋から出る事は出来ない。最初は自由が無くて不満だったが、元々7歳まで公爵家から出してもらえなかった私は、すぐにこの生活にも慣れてしまった。




とにかくリアム様は私にべったりで、最近では寝る時も一緒だ。こっそりと私の部屋に忍び込んで眠っていたリアム様。




見つけた時はかなりびっくりしたが


「片時もシャーロットと離れたくないんだ!」


何て言われたら、もう受け入れるしかない。




それに、リアム様の腕の中は温かくてとても気持ちいい。いつも以上にぐっすり眠れるのだ。




そんな私にも1つ不満がある。それは学院での過ごし方だ。学院内ではお友達とおしゃべりしたり、時には一緒にお茶をしたりしたいものだ。でも、リアム様はそれを許してはくれない。




そう、学院内ではリアム様と片時も離れてはいけないと言われているのだ。一度だけこっそりリアム様の目を盗んで、友達とお茶を楽しんだことがあるのだが、その時のリアム様の怒り様は半端なかったわ。




お尻を真っ赤になるまで叩かれ、狭く薄暗い部屋に丸1日閉じ込められた。もちろん、泣いて謝ったわ。それ以来、リアム様の側をなるべく離れないようにしている。




でも自分では意識しているつもりでも、どうしてもリアム様の側から離れてしまう事ってあるのよね。そんな時でも厳しいお仕置きをされるの。もうこんな事なら学院なんて行かずに、部屋にいた方がずっとマシなのだけれど、そんな事はできない。






だからと言って、リアム様の事は大好きよ。私の大切な人だもの。




それに、時々物凄く寂しそうな顔をする時があるの。なんて言ったらいいのかしら。この世に絶望した様な、そんな感じかな。






さらに寝ている時に




「シャーロット、頼む、行かないでくれ。僕が悪かったよ。お願い、おいて行かないでくれ」




と、よくうなされている。まるで過去に私を失った事があるかのように…




そんなリアム様の姿を見ると、心が締め付けられてとても苦しくなる。リアム様、一体あなたの身に何があったの?何度そう問いかけようと思ったか。でも、未だに聞けていない。




とにかく今は少しでもリアム様に安心して過ごしてもらおうと、出来るだけリアム様の希望に沿って生活している。






今日もリアム様と部屋であるものを一緒に作っている。




「シャーロット、随分上手に作れるようになったね。小さいシャーロットの分身も可愛かったけれど、やっぱり今のシャーロットと同じ姿じゃなくっちゃね」




そう、私たちが作っているのは、私とリアム様の分身だ。ちなみに普段私は魔力無力化リングをはめられているが、定期的に魔力を放出する必要がある。最初は外で放出していたのだが、「せっかくなら分身を一緒に作らないかい?」と言うリアム様の提案を受け、作り始めたのだ。




「リアム・さ・ま」




「う~ん、見た目は完璧だけれど、言葉がまだダメね」




どうしても言葉の方が上手くいかない。ちなみにリアム様の方はと言うと。




「シャシャシャーロッ」




「僕の方は全然だめだね。見た目もまだ小さいし、何を言っているのか分からないよ」




「それでも、随分と上手に作れるようになって来ましたわよ」




その時、小さなリアム様がすり寄って来た。なんて可愛いのかしら。ついギューッと抱きしめてあげた。小さなリアム様は本当に可愛くてたまらないのだ。




「シャーロット、たとえ僕の分身でも、そんなに嬉しそうに抱きしめないでくれるかい?」




私から小さなリアム様を取り上げ、ギューッと抱き着いて来る本物のリアム様。そんなリアム様が愛おしくて私も抱きしめ返す。




「リアム様、安心してください。私が愛しているのはリアム様だけですわ。絶対にどこにも行きません。だから、リアム様もずっと私の側にいてくださいね」




リアム様に向かってにっこり微笑む。




「ありがとう。シャーロット。もちろん、僕も絶対にどこにも行かないよ」




嬉しそうに微笑むリアム様に再び抱き着く。




リアム様が私を大切に思ってくれている様に、私もリアム様が大切だ。ちょっと行き過ぎたところもあるけれど、正直今の生活を変えたいと思ったことはない。




何だかんだで、この不自由な生活を楽しんでいるのかもしれない。




これからもっと外に出る機会が減るかもしれないけれど、それならそれで構わない。リアム様がいてくれたら、私は幸せだから。


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