夜のともだち
──カランカラン
「ふんふーん……」
ふんふん便と呼ばれる小さく白い丸い生き物はロックグラスを持ってカウンターに座っていた。グラスを傾け氷の音が鳴った。
ここはとある地下の
しばらくして入口、木製の重厚な扉が静かに開いた。
中折れ帽を被りコートを羽織った男が姿を見せる。中折れ帽とコートを脱ぎ入り口にあるコート掛けにかけた。男はダークブラウンで統一されたスリーピースを着ていた。スリーピースの男は店内を一瞥する。
そして、ふんふん便と呼ばれる小さく白い丸い生き物の隣に座った。
「おう小さいの、お疲れ。今日もミルク呑んでんのか?」
「ふふふふふふーん、ふふふふふふーん、ふふーーんふーーん」
──アンディ・ウィリアムスの『ラブソング・オブ・カルア』──
「カルーアミルクか……お前、酒呑めたんだな……」
「ふんふーん……」
──カタン
スリーピースの男の前に一つの、箱が置かれる。
「なんだ、俺にか?」
スリーピースの男は箱を開けて中身を見る。難しい顔をしていたがやがてそれは微笑みに変わる。
「ありがとよ小さいの。おうマスター、こいつの今日の呑みは俺につけとけ」
バーのマスターがこくりとうなずく。
「ふふふーんふふーん!ふふーん!ふーん!」
──タイオ・クルーズの『
「ははははは!そうだな小さいの!二日酔いになるほど今日はいっぱい呑めよ!」
スリーピースの男は席を立ち入口へ向かう。中折れ帽とコートを身に着け振り返り、ふんふん便と呼ばれる小さく白い丸い生き物に声をかけた。
「俺は明日にはスッキリさせてもらうぜ」
そう言うとスリーピースの男は扉を開け外に向かう。その様子をふんふん便と呼ばれる小さく白い丸い生き物は静かに見守っていた。
ふんふん便 マツムシ サトシ @madSupporter
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