しょうねんらしきしょうねん

バブみ道日丿宮組

お題:少年の動機 制限時間:15分

しょうねんらしきしょうねん

 世の中を支配するのは一握りの人間であり、それ以外は生きていないようなものだ。

「……ただいま」

「おかえり」

 毎日遅くまで働いて帰ってくる親の姿を見てるとそう思う。

「今日も寝ないで待っててくれたのかい」

「そうでもないし、そうかもしれない」

 スマホから視線をそらさず答えると、親は興味をなくしたようで洗面所の方へと歩いてった。

「……虹でねぇな」

 世間一般的にお金がなければなにもできないと思われてるようだけど、それは違う。

 ないならある人からもらえばいい。すごく簡単なこと。

 政治家なんて無駄に税金を使ってるのだから少しくらいもらっても被害はない。一見ガードが硬そうに見える政治家であるけど、その家族までは含まれない。

 国会でイキってる政治家は家族事情もよくない。良い親を演じるために大金を注ぎ込んでるくらいにね。

「……課金課金と」

 仲良くなって弱みさえ握ればあとは簡単なこと。

『今月分の友だち料足りてる?』

 課金しようとしたらチャットがきた。

「足りねぇよな。全凸するまでするにはあと数万はいるだろうな」

 足りないと送ると、『わかった』とすぐ返ってきた。

 こんだけ課金するくらいなら会社ごと買わせた方が安いような気がしてくるな。今度そう脅してみるか。どうせあいつには必要のない金だ。

 僕の財布事情は明るい。

 だが、家に金は入れるつもりはない。

 親には必死になって働いてもらいたい。

 苦労してる学生を演じれば、政治家の子ども1人、2人と近づける。

 僕が通ってるのはそんな御用達学校。特待生にでもなってなければ入れなかったが、それも金で解決。幼稚園時代からの舎弟がいたからな。

 このままズルズルと大人になっても苦労なんてしない。するのはただの馬鹿にさせておけばいい。その頃には親もいなくなってるだろうし、いいマンションにも住めるだろう。

 そう……今はまだ動くときじゃない。

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しょうねんらしきしょうねん バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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