【あとがき】

”モノクローム”を最後までお読み頂き有難うございました。ストーリィの底辺に、J.S.バッハのチェンバロの響きを感じて頂けましたでしょうか。「音楽の父」と言われるだけあって厳しいイメージが抜けない彼ですが、そんな中に織り込まれたロマンを色づけたいと思いました。本人には「放っといてくれ」とか言われそうですが、彩葉がやる気になってくれて嬉しかったです。


 無記名ながら、このお話の舞台は金沢です。個人的にも思い入れがある街で、冬の日本海のモノクロームな風景から一歩入ると雅な世界が待っている、しかし実際は雨や雪や雷!が多いことでも知られる街です。そこで育った彩葉と翠が、現代の高校生らしい毎日を送りながら、芯には凛としたものを持っている。そんな「地方の意地」みたいなものを少々塗りこめてみました。彼女らは若さゆえ、東京での暮らし、違う世界の吸収は速いでしょう。しかし凹むことも多いと思います。そんな中で冬になれば故郷を想い、いつかまた二人でその海を見に行くことでしょう。そこには変わらず冷たい風雪に向かい合う水仙が咲いていて、その「イエロウ」は、きっと二人に勇気を与えてくれると思います。

頑張れ、そしていつかは幸せを、と私も書きながらずっと念じておりました。


 この度は”モノクローム”をお読み下さり、有難うございました。

                              Suzugranpa


◆追記:

 本編中の医学的な事項については、何らの裏付けもないフィクションです。しかしながら色覚の障害について調べていた中で、眼科医会が出されていたメッセージ「かわいそう、ではなく個性として尊重する」という言葉が響きました。そうありたいものです。

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